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【記者解説】「あの方と一緒には…」玉城デニー県政へ不満 沖縄県の市長会、予算獲得へ〝単独行動”のワケ


【記者解説】「あの方と一緒には…」玉城デニー県政へ不満 沖縄県の市長会、予算獲得へ〝単独行動”のワケ 代執行訴訟の第1回口頭弁論を終えて報道陣の取材に応じる玉城デニー知事(中央)=30日、県庁(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 梅田 正覚

 県内11市で構成する県市長会(会長・桑江朝千夫沖縄市長)が例年県と共同で実施している国庫要請から離反する姿勢を示したのは、名護市辺野古の新基地建設を巡り国と対立を深める玉城デニー知事の県政運営や、県が主導して要請した沖縄関係予算が減額傾向にあることへの不満がある。新基地建設を巡り、亀裂が深まる県内の政治勢力の対立の一端だが、県の国庫要請の重みが軽くなり、予算獲得に影響が出る可能性がある。

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 玉城知事は新基地建設を巡り、国からの大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請を不承認として国は代執行訴訟を提起した。一方、市長会の首長のほとんどは新基地建設を進める政権与党の自民と公明から支援を受ける。

 玉城知事が設計変更申請を不承認としたことで国との対立が深まっているとして、桑江会長は「一緒の行動をしていると(国から)誤解されるのではないか。どうしたら予算増額できるかを考えると、あの方(玉城知事)と一緒にとは…」と漏らした。

 市長会は昨年11月、県町村会(会長・宮里哲座間味村長)と連携して岡田直樹沖縄担当相(当時)に、県を通さず市町村や民間へ直接交付できる国直轄の「沖縄振興特定事業推進費」の増額を要請した。桑江会長はこの動きが予算増につながった「成功体験」だと強調する。

 市長会はこの成功体験や新基地建設に対する県政運営も踏まえ、県と共同歩調を取る実利が減ったとみる。宮里会長も取材に対し「市長会と一緒に連携できるのであれば要請活動に乗っかりたい」と語り、町村会も離反する可能性もある。
 沖縄の近現代史を振りかえると、政財官民が「島ぐるみ」で一致団結した時に米軍や政府を動かす大きな原動力となった。県や市町村が一致団結して予算獲得に動くことが沖縄全体の利益につながるだろう。 

(梅田正覚)