有料

玉城デニー知事、13分間力強く訴え 国の強権「認められない」 審理はわずか37分で終結 辺野古代執行訴訟


玉城デニー知事、13分間力強く訴え 国の強権「認められない」 審理はわずか37分で終結 辺野古代執行訴訟 裁判官に向かって訴えかける玉城デニー知事=30日、那覇市樋川の福岡高裁那覇支部(イラスト・相弓子)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 30日に福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)で開かれた、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設問題に絡む代執行訴訟は、初弁論で結審となった。軟弱地盤改良工事の設計変更申請の承認を巡って十分な審議が尽くされなかったことに、県民からは司法への不信を募らせながらも「新基地阻止」を貫いた玉城デニー知事を支持する声が相次いだ。基地所在自治体からは、対話が尽くされずに法廷闘争が繰り返されることに複雑な思いを抱く人もいた。

 「判決言い渡し期日は追って指定する。本日はこれで閉廷する」。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設に絡み、国土交通相が玉城デニー知事を訴えた代執行訴訟。30日に福岡高裁那覇支部で開かれた第1回口頭弁論は即日結審となった。知事は意見陳述で「県の自主性および自立性を侵害することになる国の代執行は、到底容認できるものではない」と主張し、地方自治の在り方を問うたものの、審理自体は粛々と進み、37分間で終了した。

 この日、玉城知事は白いシャツに青色のネクタイを締め、紺色のスーツ姿で午後1時47分に入廷した。直前に裁判所近くで開かれていた応援集会に出席した際には、多くの県民からの激励に笑顔で応えていたものの、法廷内で被告側席に座ると硬い表情を浮かべて裁判を待った。

 開廷し、三浦裁判長から意見陳述を求められると、知事は同席する県代理人の加藤裕弁護士と目を合わせてうなずき、起立して裁判官席に一礼し証言台に向かった。手元の陳述要旨に視線を落としながら、自身の考えを言いよどむことなく、およそ13分間にわたって訴えた。

 新基地建設問題に関する国による強権的手法や、国が公益とする「辺野古が唯一」とする考えに対し「認められない」と強い口調で訴え、言葉を繰り返すたびに視線を裁判官席に向けた。

 原告である国側の代理人は、知事の事務遂行が法令規定に違反しており、国側の請求は代執行の要件を満たしているといった主張要旨を淡々と読み上げた。これに対し知事は視線を一点に集中させながらじっと聞き入っていた。

 審理中、傍聴席には多くの報道陣に混じって知事を応援する市民らも見られた。閉廷すると「よく頑張った」と知事をねぎらう拍手や声援が法廷に響いた。 (小波津智也)

初弁論の模様は

辺野古代執行訴訟、即日結審 玉城デニー知事「県民の明確な民意こそ公益」 判決期日は「追って指定」 高裁那覇支部

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請の承認を巡り、斉藤鉄夫国土交通相が玉城デニー県知事に代わって …