米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請の承認を巡り、斉藤鉄夫国土交通相が玉城デニー県知事に代わって承認するために提起した代執行訴訟の第1回口頭弁論が30日、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)で開かれた。玉城知事が意見陳述し、代執行の要件の一つである公益性について「県民が示す明確な民意こそが公益とされなければならない」と訴えた。即日結審し、三浦裁判長は判決期日について「追って指定する」とした。
陳述で玉城知事は、凄惨(せいさん)な沖縄戦を経て過重な米軍基地被害にさらされた県民が、何度も新基地建設反対の民意を示してきたと説明。「県民の明確な民意を無視した、国による是正が許容されようもないことは明らかだ」と国を批判した。
問題解決に向けて県が求めてきた対話に国が応じてこなかったとして、「対話によって解決を図る方法を放棄し、代執行に至ろうとすることは到底認められない」と強調した。高裁には「国が代執行という国家権力で踏みにじることをどうか容認しないでほしい」と求めた。
国側代理人は要旨陳述で、県が承認しないことで国の安全保障と普天間飛行場の危険性除去が実現できないと指摘。「県が承認しないという法令違反などを放置することによって著しく公益が侵害されることは明らかだ」などと述べた。県側代理人は、国は代執行の要件を満たしていないと反論した。
2000年の地方分権改革で中央集権型の機関委任事務制度が廃止されてから、国が代執行訴訟を提起するのは、翁長雄志前知事時代の15年以来2度目。実際に代執行されれば初めてとなる。
裁判所が国の請求に理由があると認めると、県に承認命令を出す。県がそれでも承認しない場合、国が承認を代執行し、大浦湾側の工事が着手されることになる。県は高裁で敗訴した場合も上告できるが、最高裁で逆転勝訴しない限り工事は進められる。
【動画あり】玉城デニー知事「地方自治を預かる点からはっきり主張」 辺野古代執行訴訟、口頭弁論後に会見
名護市辺野古の新基地建設問題で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請を巡る代執行訴訟に出廷した玉城デニー知事は30日、口頭弁論後に県庁で会見を開いた。玉城 …