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辺野古サンゴ訴訟、即日結審 県、設計変更承認なく「移植の必要性ない」 国「許可しない対応は違法」 


辺野古サンゴ訴訟、即日結審 県、設計変更承認なく「移植の必要性ない」 国「許可しない対応は違法」  辺野古サンゴ訴訟の第1回口頭弁論が開かれた福岡高裁那覇支部=14日午後、那覇市樋川(代表撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に向け沖縄防衛局が進めようとする大浦湾からのサンゴ類移植を巡り、農林水産相が県に移植を許可するよう是正の指示をしたことは違法だとして、県が指示の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)で開かれ、即日結審した。県側は、埋め立て設計変更申請が承認されていないとして「移植の必要性がない」と主張。国側は、許可しない県対応は違法として請求棄却を求めた。判決期日は追って指定される。

 14日の弁論で県側代理人の宮國英男弁護士が要旨を陳述した。指示時点や現時点でも変更申請の承認がないとして「許可処分をする必要性がないことは当然である」と述べた。仮にサンゴ類の移植が始まれば「もともとの生殖場所のサンゴは皆無になり、移植先の生残率も高くない。サンゴに対する侵襲は著しい」と指摘した。

 国側代理人は、移植が「水産動植物の保護・保全に資する」と強調。9月の最高裁判決で、県が変更申請を承認しないことが違法であることが示されたとして「県は変更申請を承認する義務がある。承認がないことは移植の必要性を否定する理由にならない」と訴えた。

 防衛局は2022年7月、軟弱地盤の海域に生息するサンゴ類約8万4千群体の特別採捕許可を県に申請。県は同年9月、防衛局が設計変更申請の承認を得ておらず、不許可とした。農相は23年3月、県に許可するよう指示。県は5月、指示を不服として総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)に審査を申し出た。係争委は7月、農相の指示は違法ではないと判断。県は8月に不服として提訴した。