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沖縄県議会、空転7時間 辺野古は「新基地」か「代替施設」か 議長が議事止め、自民会派は退席 県答弁めぐり 


沖縄県議会、空転7時間 辺野古は「新基地」か「代替施設」か 議長が議事止め、自民会派は退席 県答弁めぐり  沖縄県議会の議会棟(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄県議会11月定例会は5日の代表質問初日から空転し、当初予定されていた4人のうち2人の質問で終了した。米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、県側が国側の呼称「普天間飛行場代替施設建設事業」ではなく、知事の政治姿勢を表す「辺野古新基地建設」と答弁したことで、赤嶺昇議長が議事を止め、国の呼称を使うよう求めた自民会派が退席した。県当局による説明や議会各派代表者会議が断続的に行われ、休憩は7時間以上という長時間に及んだ。

 玉城デニー知事は「辺野古新基地建設の阻止」を公約に掲げて知事選に勝利し、県議会の質問に対しこれまで「辺野古新基地」という言葉を用いて答弁してきた。5日も、中川京貴氏(沖縄・自民)が代表質問で政治姿勢について質問した際に玉城知事は「辺野古新基地建設」と発言した。

 これに対し、赤嶺議長が「先般、県議会議長として知事宛に議会答弁における正式名称の使用について申し入れた」とした上で調整のため休憩とした。休憩中に自民会派代表の島袋大氏が「調整が終わるまで議会はありません」と述べ、自民会派全員が退席した。
 赤嶺議長は6月、玉城知事に対し、議会答弁について「原則として正式名称を用いるよう配慮」を求めた。10月にも、同様の申し入れを行っていた。赤嶺議長は本紙取材に対し、議会で文言を巡り進行が滞る場面があったことなどを申し入れの理由に挙げた。議会運営委員会や各派代表者会などでの議論は経ておらず、議長判断で出された。議会事務局によると、法的拘束力はない。

 池田竹州副知事らが、知事の政治姿勢に関する答弁については「新基地建設」とし、国が主語となる場合は「代替施設」との表現を用いると説明し、理解を求めた。

 県政与党側は「知事の政治姿勢に関わる問題であり、文言を変える必要はない」との考えを執行部に伝え、議論は平行線をたどった。
 各派代表者会議で自民会派の島袋会派長は、一連の経緯を踏まえ「なぜ自民党の代表質問の答弁を与党に確認するのか」と強く反発した。
 共産党県議団の渡久地修団長は「意に沿わない回答は当然ある。だからといって退席、休憩となれば議会は成り立たない。再質問で論争をするのが議会だ」と、早期開会を求めた。
 (佐野真慈、知念征尚)