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代執行の「3要件」、国の主張通り認める 高裁判決の中身とは 辺野古代執行訴訟


代執行の「3要件」、国の主張通り認める 高裁判決の中身とは 辺野古代執行訴訟 沖縄県が答弁書を提出した福岡高裁那覇支部
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 福岡高裁那覇支部の判決は、地方自治法で定められた代執行の3要件への該当性を国の主張通りに認めた。一方、付言で一連の問題解決に向け、国と県の対話を求める意見も付けた。

 法令違反などの該当要件については、国土交通相の是正の指示を巡る9月の最高裁判決が、県の不承認を公有水面埋立法の各規定に違反すると判示し、確定したと強調。それでも県が承認していないとして、「『法令の規定に違反するものがある場合』に該当する」と述べた。

 他の方法で是正が困難かどうかについては、最高裁判決確定後も県が承認していないことから、「承認しないという意思は明確かつ強固だ」として、要件を満たすと判断した。他の方法は是正の指示などが該当するとし、県が国に求め続けてきた対話は「(他の)方法に当たるとは言えない」との認識を示した。

 県が承認しないことを放置することによる公益性は、普天間飛行場の危険性が人の生命や身体に関わり、設計変更の申請から約3年半、国交相の不承認取り消し裁決から約1年半経過したと指摘。県対応の放置は「社会公共の利益を侵害するものに当たる」と判断した。

 埋め立て事業に対する県民の心情は歴史的経緯などを踏まえ、「十分に理解できる」と言及した。しかし県主張の民意の公益性については、法律論として代執行要件の公益とは異なるとして、「当然に考慮し得るものとは言いがたい」と退けた。

 付言では、今後の埋め立て工事が十数年にわたって予定され、追加の設計変更などもあり得るとして、「繰り返し訴訟による解決が図られることは、国と地方との関係をみた場合、必ずしも相当なものとは言いがたい」と意見し、対話を求めた。

 三浦隆志裁判長は法廷で主文言い渡し後、判決の骨子を読み上げる対応を取った。

【判決の全文】辺野古代執行訴訟 福岡高裁那覇支部 判決文