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<台湾総統選・頼氏当選 識者に聞く>2027年に「台湾有事」は起きるのか? 沖台連携に「北京が抗議できない」方策も 郭育仁氏(台湾国策研究院副院長)


<台湾総統選・頼氏当選 識者に聞く>2027年に「台湾有事」は起きるのか? 沖台連携に「北京が抗議できない」方策も 郭育仁氏(台湾国策研究院副院長) 台湾国策研究院の郭育仁副院長(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 吳俐君

 13日投開票の台湾総統選は与党民主進歩党(民進党)の頼清徳副総統が初当選した。頼氏は知日派として知られているが、中国に独立派と見なされ、中台対立激化も懸念される。今後中国と台湾との関係に、日本・沖縄がどう関わっていくべきか、軍事基地が集中する沖縄への影響などについて、日台関係に詳しい台湾国策研究院の郭育仁(クォウイユーレイン)副院長に聞いた。

 ―中台関係はどう変化するか。
 「選挙前、最大野党国民党の侯友宜・新北市長が当選したら中台の緊張関係が緩和されるとの見方もあったが、それは間違いだ。蔡英文(現総統)が初当選した2016年の中国国内の状態は24年の現在と全く違う。まずこの8年間で習近平中国国家主席に権力が集中し、中国の軍事力や経済力も増してきた。習氏が主席に就任した13年から22年まで(第1期と第2期)の10年間、台湾問題の解決は前進せず、むしろ後退した。そのため、習氏は第3期から台湾に対する一方的な軍事的、経済的圧力を非常に多くかけてきた。今回の台湾総統選で誰が当選しても、今後習氏の台湾に対する圧力がより頻繁、より強度が高くなっていくだろう」

 ―今後の日台関係は。
 「日台は安全保障問題において連携を深めたほうがいいと言われているが、現時点で日本は中国との関係などに配慮するので厳しいと思う。むしろ、台湾はこのタイミングで日本とFTA(自由貿易協定)について交渉したほうがいい。ただ、短期間で日台関係が発展することは悲観的だと思う。問題は岸田政権の不安定にある。日本のことが好きな頼氏が当選しても、年内に日台間で大きな変化はないだろう」

―盛んに言われる「台湾有事」は起きるか。
 「27年に戦争(台湾有事)が起きるという予測が多いが、可能性は非常に低いと思う。まず習氏が自軍を信頼できていない。対外的に戦力を使う際に最も重要な『ロケット軍』トップ2人は汚職や機密漏えいなどで同時に交代された。習氏が同部隊を完全に信頼していないと戦争を起こさないだろう。近年、中国周辺国の防衛力の増加もある程度、中国解放軍の活動を抑制できるだろう」

 ―軍事基地集中の沖縄への影響とその対応は。
 「沖縄は第2次世界大戦から今日まで、米国にとって最も重要な戦略位置にある。今後数年間、自衛隊駐屯地に加え、米軍基地の建設も増えていくだろう。ただ、自衛隊の補給拠点の拡大などで沖縄の住民にとって生活に必ず影響がある」

 「16年頃、シンクタンクとして日台両政府に沖縄と台湾東部三県(宜蘭、花蓮、台東)がミニFTAを締結するよう提案したことがある。台湾から台風が多い沖縄、特に台湾に近い八重山諸島への物資運送や医療ケアなどにおいて連携できれば、両地域にとっていいことだ。両地域はともに豊かな観光資源を有しており、未開発な場所もまだ多くある。連携できれば、外資の誘致にも有利だ。両政府が出資し、民間の合資会社を作れば、北京も抗議できないだろう」

(聞き手 呉俐君)