【動画あり】林官房長官「辺野古移設へ工事進めていく」 玉城知事の計画断念要求に 就任後初来県、県庁で会談 


【動画あり】林官房長官「辺野古移設へ工事進めていく」 玉城知事の計画断念要求に 就任後初来県、県庁で会談  就任後、初来県した林芳正官房長官(左)に要望書を手渡す玉城デニー知事=28日午後、県庁
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 玉城デニー知事は28日、就任後初めて沖縄県を訪れた林芳正官房長官と県庁で会談し、普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画の断念などを求める要望書を手渡した。玉城知事は「県民投票で明確に示された辺野古新基地建設に反対する県民の民意をしっかりと受け止め、埋め立て工事を中断し、問題の解決に向けた沖縄県との対話に応じてほしい」と求めた。林氏は会談後の会見で「政府としては引き続き、地元への丁寧な説明を行いながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するために辺野古移設に向けた工事を進めていく考えだ」と述べ、従来の見解を繰り返した。

 玉城知事は普天間飛行場の危険性除去について、普天間飛行場負担軽減推進会議を早期に開催して運用停止に向けた具体的なスケジュールの作成などに取り組むことを求めた。林氏は会談後「(同会議の)作業部会を開催する方向で調整していきたいと伝えた。政府としてはこうした機会を通じ、地元へ丁寧な説明を行うとともに、沖縄県側ともさまざまなレベルで意思疎通を図っていきたい」と話した。

 会談は15分間行われ、冒頭以外は非公開だった。冒頭で沖縄振興予算の確保や物価高騰への対応、米軍基地問題の解決など15項目を記した要望書と、PFAS対策の実施を求める要請を手渡した。

 玉城知事は会談の中で、国内の米軍専用施設面積の約7割が沖縄に集中している現状について50%以下という具体的な数値目標を日米両政府で設定し、日米特別行動委員会(SACO)の協議を始め沖縄を加えることや、米軍のV22オスプレイの配備撤回を求めた。政府が安全保障上で必要性が高い空港や港湾など民間インフラ施設を指定する「特定利用空港・港湾(特定重要拠点)については、特に予算面で沖縄振興予算の外に位置付けられるかなどの詳細が不明だとして、引き続き調整したいと伝えた。

 林氏の沖縄訪問は、昨年12月の就任以来初めて。当初は名護市辺野古の新基地建設予定地の大浦湾側へ土砂を投入するより前の1月上旬の訪問を予定していたが、1月1日に発生した能登半島地震への対応のため、延期されていた。林氏は知事との会談に先立ち、渡具知武豊名護市長、桑江朝千夫会長(沖縄市長)ら嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)、松川正則宜野湾市長とも面会し、基地問題について意見交換した。

 辺野古新基地建設問題を巡り、政府に繰り返した対話を求めてきた玉城知事は、会談後「今回を契機に、引き続き対話する機会を求めていきたい」と話した。