名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票から24日で5年。7割反対の民意を示しながら、国は知事の権限を奪う代執行まで使って工事を進めている。改めて何をしたらいいのか。県民投票の中心メンバーらは24日、石垣市で音楽やトークライブを通し、沖縄のこれからを考える「2・24音楽祭2024」を開く。
「7割を超える反対が明らかになったので、さすがに無視できないだろうと思ったのですが…」
「辺野古」県民投票の会元代表の元山仁士郎さん(32)はこの5年間を振り返る。
開票結果を受け「今度は本土がボールを返す番だ」と訴えたが、国は翌日も工事を続けた。昨年末には代執行にまで踏み切り、大浦湾を埋め立てようとしている。「法的には県民の民意を無視できてしまう。制度の暴力性を感じた」と語る。「政府は沖縄県外を見て、強い異議申し立てがないので『やってもいい』と思ったのだろう。問われているのは『本土』の有権者だ」
県外の動きが鈍いなか、元山さんが提唱しているのが、個別の政策テーマごとに意思を示すための「国民発議」による国民投票の導入だ。「日本の一人一人に、沖縄の負担や日米地位協定の改定などを問わないと、真剣に向き合わないのではないか」という思いからだ。昨年から国会議員などを交え、議論を進めている。
県民投票で「7割反対」の土台を作った意義は今も実感している。県が国との法廷闘争で主張した「公益性」の根拠の一つとなり、玉城デニー知事が反対を貫く決定をしているからだ。
「簡単には譲歩できないという県の判断につながっていると思う。政府の強行ぶりを浮き彫りにする参照軸にもなっている」
元山さんは国の強硬姿勢を見て「仕方ない」と考える人の気持ちも「共感できる」と話す。その上で伝えたいという。「真剣に考えて投票したことを諦めるのは悔しくないですか」、と。
県民投票を忘れないため毎年続けてきた音楽祭は24日午後2時から石垣市美崎町の「Music bar ADN」で行う。参加は無料。オンライン配信もある。 (南彰)