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【記者解説】オスプレイ、不具合の再発可能性「ある」と防衛省 しかし詳細明かさず 飛行再開へ地元理解厳しく


【記者解説】オスプレイ、不具合の再発可能性「ある」と防衛省 しかし詳細明かさず 飛行再開へ地元理解厳しく 米軍のサルベージ船に引き揚げられた、墜落したCV22オスプレイの一部とみられる残骸=2023年12月、鹿児島県・屋久島沖
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 鹿児島県・屋久島沖で昨年11月に起きた米空軍CV22オスプレイ墜落事故に関し、日米両政府は停止していたオスプレイの飛行を再開する方針を固めたが、事故原因は事故機特有の不具合ではなく、他のオスプレイでも起こり得る現象だということも判明した。既に明らかになっていたクラッチに関係する不具合「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」と別に、オスプレイに共通する構造上の問題が浮上した可能性がある。 

 防衛省は墜落機と同様の不具合が他の機体でも起こる前提で、早く兆候をつかめるよう異常探知システムによる点検や維持整備の頻度増加などを対策として挙げた。いずれも根本的な解決策とは言えない。「安全に運用が再開できる」とする一方、不具合が確認されたのはどの部品なのかさえ明らかにしなかった。その上で、過去に事故を引き起こしたHCEの発生は否定している。

 防衛省は「オスプレイの設計と構造に問題はない」と強調する。防衛省の定義で「構造上の欠陥」は「設計の変更を伴うようなもの」(同省担当者)を指すという。今回はそれには当たらず、対策をとることで安全運用が可能としている。ただ、事故原因が各種オスプレイに共通する問題であることを否定したわけではない。

 再発の可能性が「ある」(防衛省担当者)にもかかわらず、日米両政府は地元の頭越しに県民の安全に関わる重要な決定を示した。

 今後、防衛省が実際の飛行再開前に県や宜野湾市など関係自治体に説明する予定だが、原因となった部品や不具合の内容を伏せたままで地元住民の理解を得るのは困難だ。
  (明真南斗)