米海兵隊のMV22オスプレイが14日、約100日の運用停止期間を経て飛行を再開した。事故原因の詳細を明らかにしないまま飛行再開を強行した米軍とそれを追認した日本政府の姿勢は、重大な事故を繰り返してきたオスプレイが日常的に上空を飛び交う沖縄県民の、強い危機感を全く理解していない。
13日の段階で、沖縄防衛局から県や宜野湾市などに、14日以降、準備ができ次第順次飛行を再開すると伝えられたが、具体的な再開の日程や米軍の言う「段階的」の詳細などについては回答がなく、防衛省側も具体的には把握できていなかった可能性がある。基地内でのホバリングなどから徐々に始めると受け止めた人も多かったが、実際は延べ13機が市街地上空を含む基地外を飛んだ。
木原稔防衛相はこれまで、飛行再開に向けて、米軍から必要な情報の提供を受けた上で「米軍の対応が適切だと私どもが主体的に判断することが必要だ」と繰り返してきた。安全性の確保のためには事故原因だけでなく、飛行再開前後の練度回復や新たなマニュアルへの習熟などは、不可欠な情報だ。
県や地元自治体に限られた情報しか提供できないのならば、政府は米軍に対して飛行再開の延期を要請するなど、国民の生命や財産の保護のために主体的な判断をする必要がある。
(沖田有吾)