【東京】政府は29日、外国からのミサイル攻撃などの有事を想定した避難施設「シェルター」の整備に関する基本方針を公表した。武力攻撃が広範囲で長期に及ぶ場合に備えて2週間程度の避難が可能な地下施設として「特定臨時避難施設」を新たに整備する。「台湾有事」を念頭に、与那国町、竹富町、石垣市、多良間村、宮古島市の5市町村に整備する方針を示した。
内閣官房によると、新設する「特定臨時避難施設」について「公共・公用施設の地下」に設けることとし、平時は会議室や駐車場などとして使用することを想定している。
整備の要件として、5市町村では、輸送手段が航空機、船舶に限られるている点、全住民の広域避難を想定した国民保護訓練を実施している点を挙げた。今後、南・北大東村が要件を満たした場合には、新たに整備することもある。
技術的な仕様指針では、ミサイル攻撃のほか、敵部隊による侵攻による「爆弾、砲弾、通常弾頭による爆風」などからの避難を想定する。
収容スペースは100~300人程度の収容で400~1200平方メートル程度を想定。爆風に耐えるために頑丈な扉や「前室」を備え、2カ所以上の出入り口、備蓄倉庫などを設置する。
石垣市、宮古島市、与那国町の施設は地上部分も含めて防衛省が、竹富町、多良間村の施設は総務省消防庁がそれぞれ整備費を補助するとしている。内閣官房によると整備費用は、2025年度以降の予算に反映させる見込みだ。
(安里洋輔)