浦添市西洲で路肩に駐車し荷待ちする各運送事業者のトラック＝2月下旬
琉球新報社 ＜バス運賃＞
沖縄本島内の乗合バスを運行する琉球バスと那覇バスの運賃が1日から値上げされる。那覇市内線は現行の240円から20円増の260円、市外線は初乗り160円から30円増の190円となる。沖縄バスは琉球バスと共同運行する路線で同額調整による値上げをするほか、市外線を30円増の190円とする申請を提出した。東陽バスは現行のまま。
新型コロナなどの影響で輸送人員が減少し、収支状況が悪化したことなどが理由。
子育て世代の家計費負担を考慮し、これまで琉球バスが4割1分、那覇バスが4割引きしていた通学定期運賃は、いずれも5割引きに拡充する。通勤定期運賃の割引率は3割引きのまま。
沖縄自動車道で全車両に適用されている35.5％の利用料金特別割引制度の適用は4月からETC搭載車限定となる。特別割引措置が適用されなくなった場合、那覇―許田間の通行料金は、普通車が1040円から1610円、中型車以上が1640円から2550円になる。
＜電気料金＞
沖縄電力の電気料金は4月検針分から、送配電線の使用料に当たる「託送料金」の制度見直しがあり、標準家庭で月額35円値上がりする。5月からは、再生可能エネルギー普及に向けて全国一律で電気料金に上乗せされる「賦課金」が上がることが影響し、月額543円の負担増となる。
現在、国や県の物価高騰対策で電気料金の一部が補助されており、標準家庭では月額1300円が値引きされている。この措置が6月は半減し、7月には終了する見込み。
沖電の標準家庭の5月の電気料金は8462円。直近の平均燃料価格の動きが反映されるため料金は変動するが、燃料費調整が5月と同じと仮定した場合、6月は補助が半減されて9112円程度に、7月は補助なしなら9762円程度まで値上がりする。
＜残業時間＞
長時間労働の改善を目的にバスや運送、建設、製糖業界などへ時間外労働に上限を課すなど各種規制が厳格化される。沖縄県では製糖業でも導入される。
バスや運送など運転業務は上限規制がなかった時間外労働が最大年960時間となる。終業から始業までの休息期間は8時間から9時間以上に。建設業は上限が原則、月45時間を守らなければならない。違反は6カ月以下の懲役また30万円以下の罰金が科せられる。
県内路線バスが昨年から減便に踏み切るなど、既に影響が出ている。今後も減便を伴うダイヤ改定の可能性がある。
運送業や建設業でも規制に対応することで人手不足が強まることや、経費の増加が予想されており、労務費の価格転嫁の在り方や生産性の効率化などが課題となっている。
＜ライドシェア＞
タクシー乗務員の不足を受けて、一般ドライバーが自家用車を使って有料で客を送迎する「日本版」ライドシェアが東京、神奈川、愛知、京都の一部地域で解禁となる。
従来は「白タク行為」として禁止されてきたが、観光地などでタクシー不足が深刻なことから政府が制度づくりを進めてきた。
県内では石垣市が4月からの開始を発表。「石垣版」は自家用車ではなく、乗務員不足で稼働していなかったタクシー車両を運行してもらう仕組み。
＜相続登記＞
不動産登記法の一部が改正され、相続や遺言によって不動産を取得した相続人は、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務化される。正当な理由なく申請を怠った場合は、10万円以下の過料の対象となる。
義務化の背景に、相続登記がなされないことで所有者不明土地が全国的に増加し、公共事業や民間土地取引などの土地の利活用が困難になっている事情がある。県内では所有者不明農地の合計面積が、2021年度末時点で1万7258ヘクタールに上り、農地全体の36・4パーセントを占めていることが調査で明らかになっている。
＜コロナ支援＞
新型コロナウイルスの治療や医療提供体制に関する公費支援が終了する。通常の医療費の自己負担と同様になり、個人の負担が増す。
治療薬代は、医療費の窓口負担割合に応じて、1～3割の自己負担となる。最大1万円の入院費補助はなくなり、病床を確保した医療機関に支払われる病床確保料（空床補償）も終了となる。
無料のワクチン接種も終了し、4月以降は65歳以上の高齢者らを対象に年1回の定期接種に移行する。定期接種の自己負担額は最大で7千円程度になることが決定している。任意接種の場合は、7千円を超える見通し。
