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特権付与の「軍属」数、補足協定後で最多 1万4000人に 女性暴行殺害事件から8年 沖縄


特権付与の「軍属」数、補足協定後で最多 1万4000人に 女性暴行殺害事件から8年 沖縄 資料写真
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 【東京】日米地位協定で特権を与えられる軍属が1月現在で1万4184人に上り、軍属の範囲を明確化する補足協定を結んで以降、最多となることが27日までに外務省への取材で分かった。特権を付与する対象者を限定する狙いがあったが、軍属数は増えており、実効性の欠如が露呈している。補足協定は2016年4月28日の米軍属による女性暴行殺害事件を受け、締結された。28日で事件から8年となるが、根本的な防止策は打ち出されていない。

 23年時点で1万2926人だった軍属数は、24年1月までに1258人増えた。米政府が直接雇用していない請負業者(コントラクター)の従業員も含んでおり、その数は23年と比べ、930人増えて4722人となった。

 16年4月の女性暴行殺害事件では、当時基地内のインターネット関連会社に所属していた元海兵隊員の男が逮捕された。この事件を受け、日米両政府は17年に補足協定を結んだ。事件で逮捕された男のような身分は軍属から外れることになった。

 外務省は締結時に「これまでの運用改善とは一線を画する画期的なもの」と強調していた。

 しかし、補足協定を結んだ直後の17年10月時点で7048人だった軍属は、18年10月に1万1857人と大幅に増えた。外務省は基地内の商業施設などで働く職員が反映できていなかったと説明した。ただその後も増加傾向に歯止めが掛かっていない。

 人数の多い軍人や軍属の枠内に残った人たちの特権自体は温存された状態で、協定締結後も事件は続いている。 

(明真南斗)