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「再び戦場に」危ぶむ声 自衛隊増強進む沖縄 ミサイル配備、旅団を師団に格上げ 


「再び戦場に」危ぶむ声 自衛隊増強進む沖縄 ミサイル配備、旅団を師団に格上げ  12式地対艦ミサイル発射機の前に並ぶ自衛隊員ら=3月、うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

 沖縄本島の自衛隊を増強する動きが続いている。防衛省は3月、陸地から艦艇を攻撃する地対艦ミサイル部隊を本島に初めて配備。那覇駐屯地を拠点とする陸上自衛隊第15旅団を師団に格上げする計画で、訓練場新設も図る。台湾や尖閣諸島を巡る緊張を背景に、政府が「有事への備え」を掲げ、防衛力強化を推し進める現状に、沖縄では「再び戦場にされる」と危ぶむ声が上がる。

 海を望む高台で、12式地対艦誘導弾を上空に向ける2基の発射機。3月30日、うるま市の陸自勝連(かつれん)分屯地で、第7地対艦ミサイル連隊が発足式を迎えた。自衛隊関係者は「県民の反発が根強い本島への配備は大きな一歩だ」と喜んだ。

 沖縄本島―宮古島間の幅約250キロを超える海峡は、中国軍の艦艇が頻繁に通過する要路だ。陸自幹部は「宮古島の地対艦部隊と共に、両側から狙える形が整った」と配備の意義を強調する。

 12式の射程は「約200キロ」(政府関係者)。防衛省は射程を約千キロに延ばし、相手国領域内の攻撃に使う能力向上型を2025年度から配備する方針だ。

 前出の自衛隊関係者は「配備は南西諸島が最優先」とみる。県幹部は、反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つ部隊の配備は「攻撃対象となるリスクが高まる。明確に反対だ」と語気を強めた。

 在日米軍専用施設の負担軽減が進まない中、自衛隊施設を増やす動きもみられる。

(共同通信)