prime

憲法9条の改定「必要ない」 公明と野党の6国会議員 <憲法アンケート詳報2/3>


憲法9条の改定「必要ない」 公明と野党の6国会議員 <憲法アンケート詳報2/3> イメージ写真
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

【9条の改定】

 戦争放棄や戦力不保持をうたった憲法9条の改定について、県関係国会議員11人のうち自民党5人は「変える必要がある」、公明1人と野党5人は「変える必要はない」を選んだ。9条は平和主義の象徴であり、国際情勢を考慮し自衛隊を明記すべきとする意見と、変えるべきではないとする意見に分かれた。

 社民の新垣邦男氏は「平和憲法の骨格をなす条文」「改憲論議そのものが国際社会に9条破棄を想起させ、緊張感を高める」として改定を否定した。公明の金城泰邦氏は「専守防衛に徹し、その範囲内で抑止力を保持、強化している」として改定は不必要とした。

 自民の島尻安伊子氏は、国際貢献などの活動で自衛隊の存在は国民の支持を得ているとした上で「憲法に位置づけ自衛隊違憲論を解消」との考えを示した。

(嘉数陽)

【緊急事態条項】

 戦争やテロ、大災害時に、社会の安全を維持することなどを目的に政府に権限を集中させようとする「緊急事態条項」の創設について、自民5人が「必要」、野党5人が「不要」、公明の金城泰邦氏は「どちらとも言えない」とした。

 「必要」と答えた自民の国場幸之助氏は、混乱に対して「国会機能を維持する」ための規定が必要とした。「緊急事態条項が無く、超法規的措置がとられる方が危険」と指摘した。「不要」と答えた野党5人は、国民の権利の制限などを懸念した。立民の屋良朝博氏は「個別の法律」での対応を前提に「その時に生じた課題を踏まえ、不断に改良していくだけで十分」とし、「政府の恣意的運用の可能性を排除しなければならない」と懸念を示した。

(嘉数陽)

【自治法指示権】

 政府は3月、地方自治の基本法である地方自治法の改正案を閣議決定し、開会中の国会での成立を目指している。災害時などに地方自治体に対して国が指示権を行使できる「補充的指示権」を創設するなどの内容だ。政府による緊急時の迅速な対応につながるとして肯定的な意見がある一方で、憲法で定められた地方自治の本旨が損なわれかねないとの批判もある。アンケートでは与野党で賛否が明確に分かれた。

 野党で沖縄の風の伊波洋一氏は「惨事に便乗して国の権限を強化し、憲法92条が保障する団体自治権を侵害するものだ」と厳しく批判。「国は余計な手出しをせず、自治体を支援する役割に徹するべき」と指摘した。

 自民の国場幸之助氏は「国と地方の主従関係の復活ではない」と反論。新型コロナ禍で国と自治体の役割分担を巡り課題が指摘されたとし、「自治体にあった指示を可能にし、自治体の行政を進めるために必要」とした。

(大嶺雅俊)