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【記者解説】戦後79年、世論に変化 改正の是非、丁寧な議論を 憲法アンケート 沖縄


【記者解説】戦後79年、世論に変化 改正の是非、丁寧な議論を 憲法アンケート 沖縄
この記事を書いた人 Avatar photo 安里 洋輔

 憲法に関する県議選の立候補予定者と県関係国会議員対象の本紙アンケートで、5割超が9条を「変えない方がいい」などとした。ガザを巡るイスラエルとイランの対立や、「台湾有事」が懸念される背景にある中国の軍事的台頭など安全保障環境の変化が指摘される中でも、戦争放棄をうたう9条の平和主義への評価が根強いことを示した。

 一方、県議選立候補予定者のアンケートでは、44.2%が9条改定に前向きな回答を示し、前回2020年に実施時の40.6%よりも、3.6ポイント増加した。
 今回も憲法改定について「変えない方がいい」とする回答が、「変えた方がいい」とする回答を上回った。ただ、沖縄では、戦後79年となる沖縄戦の体験者が減少し、沖縄の日本復帰後に生まれた人も多くなり、世代交代が進む。日本国憲法が適用されなかった米統治の記憶も薄れる中、平和主義を重んじる世論に微妙な変化もみられる。

 政府は、戦力不保持を掲げる9条との整合性が問われる「国家安全保障戦略」など安全保障関連3文書を閣議決定し、同戦略に基づく「特定利用空港・港湾」の指定を始めた。この指定については、国会議員へのアンケートで「賛成」が6人、「反対」が5人と賛否が分かれている。

 岸田文雄首相は安全保障政策に関わる重要政策で丁寧さを欠く姿勢が目立つ。1月の施政方針演説で改憲への強い決意を示しているが、憲法改正の是非を問う議論では拙速な対応は許されない。

(安里洋輔)