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作業船改造費も政府負担 軟弱地盤工事 膨らむ新基地建設費


作業船改造費も政府負担 軟弱地盤工事 膨らむ新基地建設費 防衛省(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、防衛省が大浦湾側の地盤改良工事に向け、業者に地盤改良船数隻を改造させ、その費用を負担する方針であることが4日までに分かった。数百億円規模で契約済みの複数の工事で、船の改造費が加算されるとみられる。1隻当たり数億円はかかる見込みで、さらに費用が膨らむ見通しだ。

 防衛省は水面下約70メートルまで砂などのくいを打ち込む改良工事を予定している。しかし国内に存在する改良船では打ち込みの深さが足りず、深く打ち込めるようにする改造などを計画している。

 国内で対応できる船が乏しく、改造費まで負担する異例の難工事であることが改めて露呈した格好だが、防衛省は「施工上必要な費用を負担することは問題ない」と説明している。

 同省が地盤改良工事を検討するに当たって業者が作成した報告書によると、1隻当たり数億円がかかる可能性がある。

 地盤改良を含む護岸新設に関する工事契約では、地盤改良船3隻について砂ぐいを3本同時に打ち込め、かつ打ち込みの深さを75メートル級にする改造を想定している。工事は五洋建設・大成建設・国場組の建設共同企業体が落札した。当初契約の261億4700万円が船の改造費で増加するとみられる。

 さらに別の工事では地盤改良船の船体補強が必要となる見込み。当初契約額の144億5950万円に船の補強費が加わる予定。広範囲に砂を散布する「砂撒船(すなまきせん)」の改造が想定される工事もあり、防衛省は費用負担を検討するとしている。

 大浦湾の軟弱地盤は最も深い地点で水面下約90メートルに達している。防衛省は70メートルまでの地盤改良にとどめる方針だが、それでも一定規模の工事として国内で前例のない深さに対応することになる。

 (明真南斗)