米軍パラシュート訓練「県外実施を」 デニー知事の要請に防衛省は「求める考えない」


米軍パラシュート訓練「県外実施を」 デニー知事の要請に防衛省は「求める考えない」 木原稔防衛相(右)に要請書を手渡す玉城デニー知事=10日、防衛省
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【東京】10日に防衛省や外務省、在日米大使館を訪れ、嘉手納基地周辺の負担軽減を要請した玉城デニー知事は、嘉手納でパラシュート降下訓練が5カ月連続で実施されていることについて「常態化」とし、県外・国外での実施を求めた。知事によると防衛省側は「県外での実施を米側に求める考えはない」と答えた。

 防衛省で知事から要請書を受け取った木原稔防衛相は「沖縄の基地負担軽減は最重要課題の一つで、全力で解決に取り組む。同時に南西地域の防衛体制の強化は待ったなしだ。必要な部隊配備、基盤整備、訓練・演習はしっかり進めていく」と強調した。

 玉城知事は5カ月連続の降下訓練について、日米両政府が嘉手納基地での実施を例外的に認める「定期的なものでないこと」などの要件にも反すると指摘した。外来機の飛来制限や騒音規制措置の厳格運用、有機フッ素化合物(PFAS)に関する基地内立ち入り調査の実現なども求めた。

 大使館でジョン・ナイリン政務担当公使と会い、17日に予定されるラーム・エマニュエル駐日米大使の来県計画について米軍機ではなく民間機を使用するよう要請した。ナイリン氏は「大使に伝える」と答えた。
 外務省では辻清人副大臣が対応した。いずれの面談も冒頭を除いて非公開だった。

 1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意で、パラシュート降下訓練は伊江島補助飛行場で実施することになっている。だが、米軍は伊江島補助飛行場の滑走路で補修工事が必要だとして、嘉手納基地で継続的に実施する考えを示している。 (明真南斗)