沖縄防衛局は21日、名護市辺野古の新基地建設工事について有識者から助言を得る環境監視等委員会の会合を那覇市内で開いた。防衛局は、2020年に大浦湾の施行区域内に設置していた水中録音装置の録音データからジュゴンの鳴音らしき音声が検出されたことを受けて実施してきた、ジュゴン調査の「追加調査」について、3年以上生息を示す痕跡が確認されていないとして今月中に終了する方針を示し、同意された。
追加調査を巡っては、3月の同委員会で、委員から「調査を縮小する方向で検討」するよう指導助言があった。
一方、22年に県が行った調査で、大浦湾に近い久志沿岸海域で見つかったふんからジュゴンのDNAが検出された。これを受け県は今年2月、防衛局に対し、調査拡充などを含めた環境保全措置を求めていたが、受け入れない形となった。
県の要望に対し、防衛局は同日の委員会で、久志沖で見つかったふんがジュゴンのふんであったとしても「久志を定まった生息場とはしていないものと考える」と局としての見解を示した。ジュゴン調査を縮小しても「ジュゴンへの影響に十分配慮できる」とした。
追加調査は、月に3、4回実施しているヘリコプターによる生息確認に久志沖海域を加え、海上工事作業日の監視隻数を1隻増の4隻体制とし、大浦湾で水中カメラ3台を使った連続撮影を実施するなどの対応だった。
今回、追加調査の部分は終えるが、生息状況調査は続ける。
一方、21年度に移植した小型サンゴ類の評価も取りまとめられた。移植したサンゴ類群体数の生残率は69~92%となり、群体数の減少が確認された。防衛局は元々生息していたサンゴ類も同様に減少傾向にあるほか、国内外の移植事例の結果と比較しても遜色がないなどとし「移植方法は妥当」だとした。
(知念征尚)