有料

「ミサイル発射」アラートに夜中の県庁、慌ただしく 危機管理対策本部設置、対応に追われる 沖縄


「ミサイル発射」アラートに夜中の県庁、慌ただしく 危機管理対策本部設置、対応に追われる 沖縄 北朝鮮のミサイル発射を受け、県庁で対応に追われる職員ら=27日午後11時10分
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 北朝鮮による人工衛星の打ち上げ通報を受け、県は27日、危機管理対策本部を設置した。同日午後10時46分、政府が「ミサイル発射」とJアラートを発出したことを受け、県防災危機管理課の職員は被害を確認するなど情報収集に追われた。約20分後には政府から避難の呼び掛けの解除が伝えられた。同日午後11時時点で県内での被害情報は確認されていない。今後の対応は28日以降に検討する。

 海上保安庁は6月4日までの期間中、日本の排他的経済水域(EEZ)の外側にある北朝鮮南西の黄海と、フィリピン東側の太平洋上の海域に航行警報を発表した。

 県は27日午前9時20分から危機管理対策本部会議を開いた。前門尚美農林水産部長が、航行警報の対象海域で操業中の船はないと報告した。近隣を航行中の船が十数隻あり、漁協などを通じて周知していくとした。

 玉城デニー知事は県民に向けて「発射を予定している期間はテレビやラジオなどの情報に注意し、防災無線などで県内に落下が予測されると放送された場合は安全のため屋内に避難してほしい」と呼び掛けた。

 北朝鮮は、2023年に「軍事偵察衛星」の打ち上げを3回試みた。5月、8月は失敗。11月は沖縄本島と宮古島の間の上空を通過した。いずれも県内で被害はなかった。ただ、5月の発射では日本政府が早朝に、沖縄県を対象に全国瞬時警報システム(Jアラート)で発射を速報し、通勤、通学など県民生活に影響が出た。

 防衛省は昨年4月、沖縄本島に加え宮古島、石垣島、与那国島に航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などを展開した。その後も縮小しながらも展開を続けている。今回は北朝鮮からの通報に先立ち、23日には石垣市の石垣駐屯地でPAC3の発射機が上を向いているのが確認されるなど、迎撃態勢に入っていた。 

(沖田有吾)