県議選が7日、告示された。2年後に控える県知事選を見据えて議席の過半数を確実に獲得したい県政与野党の戦いは、中央政界でも「今後の国政への影響が大きい」として注目を集める。
5月28日、自民党本部で開催された沖縄物産展。党関係者でにぎわう会場で茂木敏充幹事長は県議選に言及した。「2年後、県政を奪還する。今回の県議選は絶対に負けられない」。和やかな雰囲気に緊張が走った。
今回の県議選で自民党の公認候補者は単独過半数に届いていないが、国政での協力関係そのままに公明と連携し16年ぶりの過半数獲得を狙う。政権与党として経済振興策などをアピールする。
一方で「裏金」問題に対する国民の政治不信は強い。党本部は街頭演説などに幹部を投入するのは控え、企業へのあいさつ回りに注力するなど「ステルス」戦術を意識している。候補者が独自に応援を求めた大物議員が演説に立つことはあるが、党本部は表立った応援は避けている。関係者は「静岡県知事選でも負けて厳しい状況が続いている。応援に行きたいが動けない」と胸中を明かす。
公明党は攻めの選挙戦を進める。「現有2議席からの倍増が党の至上命題。(自公で)過半数を取れば予算の決議を握れる」(党関係者)。9日には山口那津男代表が県内を回って演説する予定だ。別の関係者は「県議選で『全国支援』に位置付けるのも、山口代表が入るのもめったにないことだ」と強調した。
国政野党第一党の立民は、国民の自民への政治不信を追い風にして攻勢を強める。6月までに開かれた代議士会では「県議選は重要」だと各議員に周知し「全党を挙げて戦う」として、辻元清美代表代行ら党幹部を次々沖縄へ送っている。関係者は「これだけ国政とリンクしている県議選はない。議会(の多数)を取られると今後の沖縄における意思決定が変わってくる。力を入れないといけない」と話した。
「オール沖縄」の旗の下、県内で勢力を伸ばしてきた共産も、自公政権への批判を前面に押し出す。これまでに田村智子委員長をはじめ小池晃書記局長が来県。公認候補とともに与党過半数維持とオール沖縄前進を繰り返し訴えるなど、県議選での勝利を野党共闘での国政奪取へつなげようと全力を挙げている。
県関係国会議員にとっては次期衆院選への影響も懸念される。出発式や出陣式で共に声を上げ、運動を本格化させている。
(嘉数陽、明真南斗)