相次ぐ米兵性的暴行事件を受け、県議会米軍基地関係特別委員会(軍特委)は4日、全会一致で事件への抗議決議と意見書を本会議に提案することを決めた。県内の多くの政党や市民団体が外務省沖縄事務所や沖縄防衛局に抗議要請するなど反発が広がる中、県議会でも与野党が一致して、強い抗議の意志を示した形だ。
今回、宛先の異なる抗議決議案、意見書案によって内容を大きく変更しており、議会事務局によると「極めて異例」の対応がとられた。
小渡良太郎委員長は内容変更について「抗議の趣旨がぼやけないようにするため」だと説明。在日米国大使館や米軍あての抗議決議案は事件そのものに対する県民の怒りや犯罪の悪質性を示し、米軍の「人権意識の問題」などと厳しく批判し、夜間外出の規制など具体的な再発防止策を県民に示すことを求めた。
首相や外相、防衛相らにあてた意見書案では、事件の地元への連絡が遅れた点に主眼を置き「県民から疑念を持たれている」として速やかな通報の必要性を強く訴えた。
県議会は6月に改選したばかり。6月定例会の開会前の段階で県政与党側が文案を作成、配布し、野党側も全会一致で取り組むべきと足並みをそろえた。軍特委の構成も決まっていなかった段階で事実上の全会一致の状態となっていた。
6月28日に開会した6月定例会で、県議会議長に就いた中川京貴氏は「県議会の抗議はセレモニーではないと米軍は知らないといけない」と語った。
県政与党幹部の一人は「決議を実効性のあるものにするには、自分たち(与党会派)の仕事でもあるし、国政与党でもある自民の働きも重要だ」と述べ、県議会全会一致で決議を行う重みを強調した。
4日の軍特委でも事件の重要性を鑑みて委員全員による上京要請行動の必要性も提案された。形式的な抗議「セレモニー」ではない、県議会の意思を示す狙いだ。
(佐野真慈、知念征尚)