県議会は10日、相次ぐ米兵性的暴行事件に対する抗議決議と意見書を全会一致で可決した。宛先となる米国と日本政府で内容や要求事項を大きく変更する「極めて異例」(議会事務局)の対応をとった。
事件の悪質性と県民の怒りを示して実効性ある再発防止策を求めることと、県や地元自治体へ情報を伝達しなかった日本政府や米軍への疑念と批判を整理し、要求項目を際立たせることで、抗議が形式的なものではなく、県民を代表する県議会の総意であることを日米両政府に突き付けた。
県議会はこれまでも米軍基地があるが故の事件・事故が発生するたびに抗議決議や意見書を可決し、米国や日本政府に再発防止などを要請してきた。今回の抗議決議でも、県議会として再発防止を繰り返し求めてきたにもかかわらず「またしても」事件が発生したと強調した。その上で事件発生の背景として米軍の人権意識に踏み込み「問題がある」と厳しく批判している。
同事件が明るみに出て以降、10日までに県内17の市町村議会も抗議決議と意見書を全会一致で可決した。
一方で、米政府や米軍による謝罪はない。日本政府は在日米軍の犯罪に関する情報共有について新たな対応策を示したが、そもそも97年合意があったにもかかわらずその運用が形骸化されていた実情があり、実効性は不透明と言わざるを得ない。
県議会は今後、日米両政府に直接、抗議要請を予定する。両政府は県議会による全会一致の議決の重みを理解し、要求項目の実現に向け、早急に取り組む必要がある。
(佐野真慈)