石垣駐屯地(石垣市)への電子戦部隊配備計画は、地対艦ミサイル部隊などすでに石垣駐屯地に置かれている部隊の戦闘力を最大限に引き出す狙いがある。実行すれば、県内でミサイルを置いている全ての島に電子戦部隊を配備することになる。
防衛省は与那国島を皮切りに「空白を埋める」部隊配備を進めてきた。2022年末に決定した安全保障関連3文書以降、駐屯地を開設した島々を足場として「真に戦える自衛隊」を目指す新たな段階に入ろうとしている。石垣への電子戦部隊配備もその一環だ。
電子戦部隊は、相手の通信やミサイル誘導を妨害する電子攻撃を行う。相手の電子攻撃から自らの通信を守る電子防護も担う。防衛省は、電磁波領域で優勢を確保することがミサイル部隊をはじめとしたあらゆる部隊の活動に必須と考えている。
石垣駐屯地は23年3月に開設されたばかり。直後から日米共同訓練での駐屯地使用や米軍単独の石垣港使用、自衛隊などの使用円滑化を目指す「特定利用港湾」への指定など、矢継ぎ早に防衛力を増強する策が打ち出されている。ただ、政府が公表するのは実施の直前となることが多い。
自衛隊が米軍と一体となって拠点化すれば、有事に戦力をそぐために攻撃対象となる恐れがある。そうしたリスクも踏まえて住民が十分に検討した上で理解を示していると言えるのか。疑問が残る。
(明真南斗)