prime

【深掘り】「中国」何度も口に 駐日米大使が米軍機で飛来、自衛隊機も同行 県幹部、常態化を警戒 沖縄


【深掘り】「中国」何度も口に 駐日米大使が米軍機で飛来、自衛隊機も同行 県幹部、常態化を警戒 沖縄 与那国町を訪れたエマニュエル駐日米大使(右)と糸数健一町長(左)=17日
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 エマニュエル駐日米大使が17日、米海兵隊機で与那国町と石垣市を訪問した。与那国町の最西端の碑で「抑止力をしっかり示すために日米がパートナーシップを結ばなければならない」と連携をアピール。自衛隊も駐屯地の視察を受け入れるなど、両者は一体化に前のめりな姿勢を印象付けた。

 県が再三求めた軍用機の使用自粛を受け入れず、米側の強硬姿勢が浮き彫りとなった。

 エマニュエル氏は両島の陸上自衛隊駐屯地を訪問した。最西端の碑では記者団の取材に「中国」と何度も口にしてけん制。「私が(与那国島を)訪問する最後の駐日大使とはならないと予言する」と、日本最西端の島での米国の存在感を高めていく考えも示した。

 陸自与那国駐屯地や石垣駐屯地では日米共同訓練が実施されるなど、自衛隊と米軍は徐々に関与を深めている。今月3日の日米防衛相会談では「(日本の)南西地域」と明示し、共同訓練などの拡大を確認した。エマニュエル氏は「戦争を防ぐ一番の方法は確かな抑止力だ」と強調し、さらなる防衛力強化を訴えた。

 エマニュエル氏は来島に際し、海兵隊機のガルフストリームを使用した。大使の視察対応で島を訪れた陸自幹部もLR2連絡偵察機を使用した。米軍によるインフラの使用拡大を懸念して米軍に使用自粛を求めていた県は、自衛隊機の飛来も「米軍機の使用に伴うものだ」として、自衛隊に対しても異例の使用自粛を求めていた。

 県幹部は、自衛隊機の使用について「どさくさまぎれだ」と反発。「民間機で来ることもできるはずだ」と問題視した。別の県幹部は「今後も何度も米軍機で来て、常態化を狙うのではないか」と警戒感を示した。

 一方、自衛隊関係者は当初は使えないとされた新石垣空港が、調整の結果、使えるようになった経緯を踏まえ「市の調整で使用できるようになるとは驚いた。今後の展開が楽しみだ。米軍の利用が増えるターニングポイントになるかもしれない」と期待をにじませた。

 (知念征尚、明真南斗、與那原采恵)