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【深掘り】北大東レーダー配備 防衛省は周到に分析・準備し「住民反発」を回避 新機能付加に懸念も 沖縄


【深掘り】北大東レーダー配備 防衛省は周到に分析・準備し「住民反発」を回避 新機能付加に懸念も 沖縄 三宅伸吾防衛政務官(右列手前から3人目)と面談する鬼塚三典村長(左列手前から3人目)=22日、北大東村中野のハマユウ荘
この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報朝刊

 北大東村への航空自衛隊移動式警戒管制レーダー配備計画について、鬼塚三典村長が正式に受け入れの意向を防衛省に伝えた。防衛省は今回、住民の反発を招かないよう周到に進めてきた。地元首長のお墨付きを得て今後は基地建設を加速させる構えだ。一方、環境破壊やさらなる配備計画に対する懸念は残る。

 防衛省は太平洋側の海域について「警戒監視・情報収集の空白地域」と位置付ける。念頭には中国軍の動向がある。中国は初の国産空母「山東」を太平洋側に進出させて訓練を繰り返している。3隻目となる空母「福建」の就役も迫り、さらなる活動拡大が見込まれる。防衛省関係者は「太平洋側の脅威に対して『目』が必要だ」と語った。

 配備計画は、村や村議会の誘致に防衛省が応じた形を取っているが、防衛省サイドからの働きかけもあった。

 計画策定に携わった防衛省関係者によると、南大東島と比較して配備候補地を検討。過去の選挙結果などを踏まえて革新系の候補の得票率が低い北大東村の方が反発が小さいと判断した。

 北大東村に配備される予定の移動式警戒管制レーダーは、全国28カ所のレーダーサイトに設置される固定式レーダーの補完だ。ただ、固定式と比べて予算を抑えられ、かつ機動的に展開できるとされる。主要な施設を設ける島の北東部のみならず、南部にも土地を確保しており、必要に応じて両側でレーダーを運用する狙いがある。

 防衛省は2025年度の途中まで実施設計や土質調査を続けつつ、25年度に着工する方針。基地整備予定地周辺に生息する絶滅危惧種の植物や希少な動物について、必要に応じて別の場所へ移すと説明しているが、動植物に負担が掛かるのは必至だ。

 また16日に村で開かれた住民説明会では、基地完成後にさらなる配備計画が浮上することを懸念した質問も上がった。防衛省は「他のものを置くなどの計画があるわけではない」と答えたが「現段階で」と付け加えた。22日に鬼塚村長と面談した三宅伸吾政務官も将来的な基地機能強化を完全には否定しなかった。

 変更はこれまでもあった。陸上自衛隊与那国駐屯地では当初計画になかった地対空ミサイル部隊が配備されることになった。石垣駐屯地でも着工前の住民説明会で防衛省は「石垣島で米軍と共同訓練を行う計画は全くごさいません」と断言したが、日米共同訓練で使用した経緯がある。

 県関係者は「あくまで現時点での話で、どうなるかは分からない」と語り、今後の展開に警戒感を示した。

 (明真南斗、知念征尚)