自民党総裁選は12日に告示される。11日までに小林鷹之前経済安保相、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長、河野太郎デジタル相、小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安保相、加藤勝信元官房長官、石破茂元幹事長、上川陽子外相の9人が名乗りを上げている。沖縄担当相経験者が3人いるなど、各氏は多様な形で沖縄と関わっている。
小林氏は出馬表明会見で、国会議員となったきっかけが民主党政権時代の普天間飛行場返還問題だったと明かした。「リーダーの一言で日米関係が崩れていくのを肌で感じた」と語った。
林官房長官は沖縄基地負担軽減担当相を兼任。1月に来県し、玉城デニー知事や基地周辺自治体の首長らと面談した。米兵性的暴行事件も早い段階で情報を得ていた可能性がある。防衛相、農相、外相も歴任し、新基地建設を推進してきた。
茂木氏は小泉政権で沖縄担当相を務めた。2004年に沖縄国際大に米軍ヘリが墜落した事故では、衆院特別委員会で、一日も早く普天間飛行場を移転するために「(代替施設の)工期を縮めるような努力をしてほしいと思っている」と述べた。
河野氏は20~21年に沖縄担当相を務め、英語教育への米軍基地活用などを提案した。琉球新報などのインタビューで、沖縄の「子どもの貧困」の課題として若年層の妊娠を挙げ「必ずしも褒められる話ではない」などと述べた。
小泉氏は知事選や名護市長選など重要選挙の応援で何度も沖縄入り。安倍政権での環境相時代、普天間飛行場から放出された汚染水に国の暫定指針値を超える有機フッ素化合物が含まれており、適切処理のため日米間で協議する考えを示した。
高市氏も安倍政権で沖縄担当相を務めた。普天間飛行場の辺野古への移設計画で07年1月、名護市の修正案を検討するよう自主的に塩崎恭久官房長官(当時)に直談判したが、足並みの乱れを指摘され「閣内不一致だ」と批判を浴びた。
加藤氏は菅政権で官房長官に就任。沖縄基地負担軽減担当を兼任した。琉球新報などのインタビューで基地問題と沖縄振興の「リンク論」を問われ「両者を総合的に推進していく意味では両者はリンクしている」と述べた。
石破氏は幹事長だった13年、県選出・出身の国会議員らに辺野古移設を容認させて会見した。14年の名護市長選では500億円規模の「振興基金」創設を掲げて批判を浴びた。20年には辺野古新基地建設計画を検証する可能性に言及したが、すぐに軌道修正した。
上川氏は外相就任以降、相次ぐ米兵の性的暴行事件の対応などで沖縄に関わってきた。6月に沖縄全戦没者追悼式に出席した際に振り返り「既に事案を承知しており、被害に遭った方のことを思うと心が痛む思いだった」と答弁した。
(嘉数陽、明真南斗)