琉球新報が衆院選候補者に実施した政策アンケートの2回目は沖縄振興策や経済振興の見解を紹介する。選挙区の候補者のうち、沖縄振興策の評価については自民の4氏が「大いに評価する」で一致した。「オール沖縄」陣営の3氏や無所属元職、維新、参政の新人ら計9氏が「一定程度評価する」と回答。「大いに」と「一定程度」を合わせると、立候補者の8割以上が評価する考えを示した。一方で、立民前職は「あまり評価しない」、れいわ新人は「評価しない」との考えを示した。 (’24衆院選取材班)
1区
1区の候補者は、解雇規制の緩和について「反対」で一致。一方、自立型経済構築のための施策などで見解が異なった。
下地幹郎氏=無所属=は「今の振興策では貧困を改善できない」と指摘し「一括交付金を増やし、新たな法律を作るべき」と訴えた。
国場幸之助氏=自民=はこれから返還される米軍施設を念頭に那覇、浦添、宜野湾の3市と連携し、広域化した開発計画の重要性を強調した。
和田知久氏=参政=は人材育成の重要性を強調。その上で「1次産業やIT産業を政治として振興させていく施策が必要」との見解を示した。
赤嶺政賢氏=共産=は公共事業の地元優先発注、地産地消などを重視する考えで「沖縄発展の阻害要因である基地の返還を推進する」と訴えた。
<回答全文>
下地幹郎氏 | 国場幸之助氏 | 和田知久氏 | 赤嶺政賢氏 | |
1.これまでの沖縄振興についての評価 | 一定程度評価する(B) | 大いに評価する(A) | 一定程度評価する(B) | 一定程度評価する(B) |
理由 | 沖縄振興策の単純延長はすべきではなく、必要なものは活かしながら新たな法律を制定すべきである。延長が5年とか3年とかではなく、いま沖縄の大きな課題である貧困を解消するための法律に新たに作り変えるべきである | 沖縄振興計画では社会資本は本土と変わらないくらい整備されてきたが、県民所得や離島県の不利性は解消されていない。中央での沖縄の関心が薄れる中、不利性が解消されない現状が存在する以上、政府の沖縄政策への関与は必要 | 税金の一部を政策的に沖縄振興に用いることは一定評価はするが、根本的に政府の経済政策の失敗により、失われた30年のような日本人だけが貧乏になる状況が継続された。したがって、経済政策の抜本的改革が必要である。 | 社会資本整備は進んだが、県民所得の向上や子どもの貧困対策など解決すべき課題が残されている。沖縄振興法が沖縄の自主性の尊重を掲げているにもかかわらず、基地押し付けのために一括交付金を減額するなど沖縄の自治を奪う基地リンク論は断じて許されない。 |
2.これから沖縄で注力すべき産業分野(3つ) | 観光産業、物流、エネルギー(C、F、O) | 農業、観光産業、土建業(A,C,J) | 農業、観光産業、IT(A,C,K) | 農業、水産業、観光産業(A,B,C) |
3.観光振興のために必要な方策について考え方に近いもの(3つ) | 大型MICE施設の整備、海外客へのセールス(国際線の復便、新規就航、クルーズ船の誘致)、その他:那覇から本部までの鉄軌道による交通渋滞対策(D,J,M) | 二次交通の整備、観光人材の人手不足対策、オーバーツーリズム対策(観光客の年間を通しての平準化など)(B,C,I) | 二次交通の整備、災害時の避難、誘導対策、コロナ禍で傷んだ観光事業者への補助(B,H、L) | 二次交通の整備、観光人材の人手不足対策、オーバーツーリズム対策(観光客の年間を通しての平準化など)(B,C,I) |
4.沖縄振興で目指す「自立型経済」を達成するために必要な施策について | 今の沖縄振興策では貧困を改善することはできない。きめ細やかな予算を配分するためには、自由度の高い一括交付金を増やしていくべき。新たな法律、沖縄の未来を作る法律を作るべき。 | 玄関口の那覇空港をはじめ、那覇軍港が返還予定の那覇市、軍港の移設と西海岸開発を抱える浦添市、普天間基地の返還跡地の開発が課題である宜野湾市と広域に沖縄のグランドデザインを描くことは沖縄将来の発展に寄与すると考える。 | 自立経済を牽引するのは沖縄の人材であるので、時間はかかるが小中高校生が地域課題を知り、地域の問題を解決するのにどんな政治や技術が必要か考え、郷土愛を育み、そして一次産業やIT産業など沖縄で大切な産業を政治として振興させてゆく施策が必要。 | 公共事業の地元優先発注、地産地消推進、賃金引上げと県内消費拡大などにより、地元が潤い、経済が循環する構造をつくる。アジア経済の活力を取り込み、観光・農水・地場産業の振興で県全体の発展につなげる。沖縄発展の最大の阻害要因である基地返還を推進。 |
5.1人当たり県民所得向上に向けて最も重要だと思うもの | その他:可処分所得を増やす。そのために電気、水道、ガス、ガソリンを日本一安くする。教育の完全無償化を実施。沖縄第一主義の基に中小零細企業を中心に所得を上げることが大事。(F) | 企業の稼ぐ力の向上(B) | その他:減税そして政府の積極財政による全国的景気浮揚(F) | 労働者の賃上げ(利益の再分配)(A) |
6.将来的な賞税率についての考え方。引き上げ、引き下げを図る場合はどの程度の税率が妥当か。 | 引き下げを検討するべき(B) | 現状維持(C) | 将来的に消費税を廃止(D) | 将来的に消費税を廃止(D) |
理由 | 5% 海外の戦争の要因と為替によって輸入価格が上昇し、物価高が起こっていることを考えると、内政政策で物価抑制するとなれば、補助金ではなく消費税を5%にすることで抑えられる。減税は国民負担を軽減させることにもなり同時に消費を刺激することにもなる。 | 物価が上昇している状況で消費税を上げると国民生活に混乱を招く恐れがある | 消費税が明らかに景気の上昇の腰を折り、可処分所得を下げ、日本人を貧乏にし、失われた30年を作った原因の一つであるので、消費税は廃止すべきである | 応能負担・生計費非課税という税の原則に反する消費税は廃止をめざす。当面の物価高対策として税率を5%に引き下げる。世界110か国で減税は実施されている。小規模業者やフリーランスいじめのインボイスは中止する。大企業・富裕層に応分の負担を求める。 |
7.解雇規制の緩和について | 緩和に反対。現状の維持(B) | 緩和に反対。現状の維持(B) | 緩和に反対。現状の維持(B) | 緩和に反対。現状の維持(B) |
<比例・回答全文>
金城泰邦氏 | 島袋恵祐氏 | |
1.これまでの沖縄振興についての評価 | 一定程度評価する(B) | あまり評価しない(C) |
理由 | 記述なし | 社会資本整備などでは一定の成果を上げているが、県民所得は全国平均の7割にとどまっている。子供の貧困も依然深刻だ。政府が発注する事業の多くを本土の企業が受注していることも問題だ。政府が基地と振興をリンクさせていることは許されない。 |
2.これから沖縄で注力すべき産業分野(3つ) | 観光産業、その他(農水産業、建設産業)(C,P) | 農業、水産業、観光産業(A,B,C) |
3.観光振興のために必要な方策について考え方に近いもの(3つ) | 観光人材の人手不足、海外客へのセールス(国際線の復便、新規就航、クルーズ船の誘致) 、コロナ禍で傷んだ観光事業者への補助(C,J,L) | 通勤、退勤時の渋滞対策、コロナ禍で傷んだ観光事業者への補助、その他: 観光産業従業者の待遇改善(A,L,M) |
4.沖縄振興で目指す「自立型経済」を達成するために必要な施策について | 富裕層向け観光パッケージの確立と観光人材の育成。農水産業の生産性向上と離島の不利性解消施策。情報通信関連産業の拡大による雇用創出や投資拡大。 | 農畜漁業や観光産業、地場産業を支援し、その人材を育てることで、雇用創出と経済循環を進める。公共事業の地元優先発注の仕組みをつくり、公契約法の制定、正規雇用促進、非正規労働者の待遇改善、中小企業支援と一体の最賃アップで県民所得を向上させる。 |
5.1人当たり県民所得向上に向けて最も重要だと思うもの | その他:上記①~⑤全て重要(F) | 労働者の賃上げ(利益の再分配)(A) |
6.将来的な賞税率についての考え方。引き上げ、引き下げを図る場合はどの程度の税率が妥当か。 | 現状維持(C) | 将来的に消費税を廃止(D) |
理由 | 記述なし | 自公政権による消費税の引き上げにより国民の負担は増加し、コロナ禍や物価高と合わせ何重にも苦しめられている。政府は社会保障の財源だと言いながら、実際には大企業の減税の穴埋めとなってきた。ただちに税率を5%に引き下げ、将来的には廃止する。 |
7.解雇規制の緩和について | 無回答 | 緩和に反対。現状の維持(B) |