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【1区】9条改定3氏が訴え 憲法・政治姿勢<衆院選2024沖縄 立候補者アンケート>3


【1区】9条改定3氏が訴え 憲法・政治姿勢<衆院選2024沖縄 立候補者アンケート>3
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球新報が衆院選立候補者に実施した政策アンケートの3回目は政治姿勢、憲法改正などへの見解を紹介する。選挙区への立候補者のうち、岸田政権への評価では自民前職4氏が「評価する」と回答したのに対し、その他の候補者全員が「評価しない」と回答した。憲法改正について最も近い考え方を聞いたところ、「オール沖縄」4氏のうち3氏とれいわ新人が「現憲法堅持」を訴えた。これに対し、自民前職4氏のうち3氏や無所属元職、維新新人、立民新人が「現在の憲法を基軸に条文の追加・見直し」と回答。自民前職1氏と参政新人は「全体的な見直しによる新憲法制定」を訴えるなど、見解が分かれた。

  (’24衆院選取材班)

1区

 1区は改憲や9条改定で見解が分かれた。岸田政権への評価では自民前職が「評価する」としたのに対し、他の3氏は政治資金の裏金問題などを理由に批判を展開した。

 下地幹郎氏=無所属=は憲法9条を改定する必要性を訴えた。岸田政権への評価については防衛費増額に言及し「物価高騰の中で新たな負担を生む」と批判した。

 国場幸之助氏=自民=も9条改定を訴えた。岸田政権は評価し「26カ月連続マイナスだった実質賃金がプラスに転換(てんかん)するなど政策を実現している」と強調した。

 和田知久氏=参政=は「自衛権の行使が制約されるべきではない」として9条改定の必要性を指摘した。岸田政権について「掲げた政策の実行がない」などと批判した。

 赤嶺政賢氏=共産=は9条を「反戦平和の沖縄の心を体現したもの」として変えるべきでないとした。「沖縄の軍事要塞化を進めた」として岸田政権を強く批判した。

<回答全文>

下地幹郎氏国場幸之助氏和田知久氏赤嶺政賢氏
1.改憲について最も近い考え方現在の憲法を基軸に条文の追加・見直し(B)現在の憲法を基軸に条文の追加・見直し(B)全体的な見直しによる新憲法制定(A)現憲法の堅持(C)
理由国民の生活に密着した、教育の完全無償化を最優先にした憲法改正を行う現状の日本国憲法は、敗戦後GHQが短期間で作成したもので、日本の本来の国体を反映していない。したがって、日本人として、憲法を作り直すか廃止にすべきと考える。日本国憲法は、徹底した恒久平和主義、幅広い人権条項など、世界的にも先駆的な内容を持っている。憲法と乖離した現実を改めることこそ必要だ。憲法よりも安保が優先され、米軍基地によって県民の人権が蹂躙され続けている沖縄の現状こそ改めるべきだ。
2.憲法9条改定についての賛否変えるべきだ(A)変えるべきだ(A)変えるべきだ(A)変えるべきではない(B)
理由自衛隊の明記一部憲法学者間の違憲論からの脱却。憲法の理念は必要。自衛権の行使が制約されるべきではない。憲法9条は、命どぅ宝・反戦平和の「沖縄の心」を体現したものだ。侵略戦争への反省のもとに、沖縄戦や広島・長崎への原爆投下など甚大な犠牲と惨禍をふまえて制定されたもので、将来にわたって守り抜くべきものだ。日本を二度と戦争する国にしてはならない。
3.自衛隊の位置付けについての考え方憲法への存在明記(A)憲法への存在明記(A)その他:(E)
国軍として憲法に明記する
憲法違反なので廃止(C)
4.緊急事態条項創設への賛否反対(B)賛成(A)反対(B)反対(B)
理由※必須論議を深めるべき大日本帝国憲法には、法律、勅令、 緊急勅令が定められ、大震災等で、 議会の機能不全の場合には、緊急勅令が 稼働しましたが、現行憲法では、 緊急事態条項が存在せず、優先順位の 高い改正項目であるため。現状の自民党の緊急事態条項案には、パンデミックが含まれており、WHOという選挙で選ばれてもいないメンバーによる組織長の宣言で、パンデミックが宣言され、各国の主権がないがしろにされる危険があるため。緊急事態条項は戦争やテロ、内乱時に、内閣の独断で法律や予算と同じ効力を持つ緊急政令や緊急財政処分を可能にするもの。国会や司法を事実上停止し、人権蹂躙を野放しにする憲法停止条項。米軍占領下の高等弁務官による布令、布告を再現するもので絶対反対。
5.改正地方自治法が成立・施行されたことへの評価評価しない(B)評価する(A)評価しない(B)評価しない(B)
理由※必須防災担当大臣の経験から、地方自治法においてやらなければならないことは、大規模災害における国と地方の連携の拡大である。この連携の在り方に、いま大きな問題があるだけに、国の指示権を拡大するためだけでは、非常時に一体感を持った対策ができない。激甚化、大規模災害を自治体任せでなく、政府としても対処すべき事態が増えてきた。国権力と地方権力の均等化方向に進んできたトレンドに逆行し、現状の日本政府は日米地位協定等の縛りで海外や国際組織からの強い影響を受けている。すなわち、政府が日本人の主権をないがしろにする可能性があり、地方に間違った政府方針に対抗する力が必要。政府の判断一つで地方自治体への指示権の発動を可能にし、憲法で保障された地方自治を破壊するものだ。政府は安保法制が発動される事態や安保3文書に基づく特定利用空港・港湾への適用も否定していない。軍事協力を拒否する自治体を強制的に従わせるものだ。
6.死刑制度存続への賛否その他:
死刑制度の廃止については慎重であるべきだが、冤罪被害をなくすためには、捜査方法を含め改革が必要である。(E)
その他:
国民的議論が必要(E)
存続すべきだ(A)法改正して明確に廃止すべきだ(B)
7.前回選挙後3年間の岸田政権への評価評価しない(B)評価する(A)評価しない(B)評価しない(B)
理由国民が物価高で苦しむ中、防衛費の増額を行うことを決定した事は、新たな負担を生むことになり、国民に寄り添った政治とは言えない。対韓関係改善、ウクライナ訪問、G7首脳を原爆資料館に招いた広島サミット、国家安全保障戦略及び三文書改定、去年、今年と2年連続で賃上げが実現し、26か月連続でマイナスだった実質賃金は、ことし6月にプラスに転換するなど、政策を実現している。令和の所得倍増、異次元の少子化対策など掲げた政策の実行はなく、バイデン政権に隷属しウクライナへの数兆円~十兆円規模の大規模支援、韓国とのそれまでの経緯を無視した国交回復など、説明責任も果たさず、国民にとって何一つまともなことを行っていない。アメリカの声ばかり聞いて、辺野古新基地の代執行や沖縄の軍事要塞化を進めた。米兵の性的暴行事件を隠蔽するなどかつてなかった。基地と経済をリンクさせ、沖縄関係予算を減額する沖縄いじめを続けた。裏金事件の真相究明にふたをし、政策活動費も温存した。
8.玉城デニー県政への評価評価しない(B)評価しない(B)評価しない(B)評価する(A)
理由自らの最大の公約である辺野古移設を止めるという有権者との約束を守れなかったことは、政治家としての資質に欠けている。また、少女暴行事件に対する政府への対応も弱腰で、沖縄県民の尊厳を傷つけることになっている。即刻辞めるべきだと思う。通常の県政運営は実施されているようではあるが、辺野古移設を止める行動は、結果的に工事期間を延ばし多額の税金をさらに増加してつぎ込むだけの結果となった。本当に移設阻止するには政権を動かす必要がありそのような実行的行動が見られない。政府自民党の圧力に屈せず、建白書の立場を貫いて頑張っている。復帰50年の建議書で政府に平和外交を求め、県自ら地域外交に取り組んでいる。子どもの貧困対策、ヤングケアラー調査、若年妊産婦支援など誰一人とり残さない優しい社会の実現に努力している。
9.旧統一教会問題への受け止めや、今後の対策統一教会が、沖縄の政治家とどのような結びつきを持っていたのかを明確にしていくことで、実態を解明し、政治と宗教の関係を健全化していかなければならない自民党として党所属国会議員による点検と関係見直しを要請し、旧統一教会及び関連団体と一切関係を持たないことを所属国会議員に求めている。霊感商法や寄付の悪質な勧誘被害対策を消費者問題調査会に小委員会を設置し、被害者救済特例法も制定している。自民党は成り立ちから統一教会との関係があり、また公明党も創価学会との関係があり、政教分離の原則が無視されている。そのような、宗教団体もしく利権団体と政治や政党の金銭的つながりは全面禁止するしかない。霊感商法や高額献金によって信者本人や家族の生活を破壊してきた反社会的団体であり、関係を持ってきた政党・政治家は全容を明らかにし、一切の関係を断つべき。最近も安倍首相と統一教会幹部との深い関係が報じられており、自民党は説明する責任がある。
10.調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の今後のあり方について費目自体を廃止し、経費申請時は民間企業同様に領収証を添付して申請(A)使途公開・返納を義務付けるかどうかを含めてさらに議論を続ける(C)現状の維持(D)早急に立法措置を講じて使途の全面公開、残金返納を義務づける(B)
11.政治と金の問題を受け、政治資金の透明化にむけての対応企業であれば重加算税を課せられる。政治家は収支報告書の修正で済むことは国民理解を得られない。2千万、3千万の脱税を行い、非公認、重複立候補取りやめは解決策にはならない。裏金献金議員は出馬辞退、または自民党が対抗馬を出してはどうか改正政治資金規正法をはじめ政治資金に関する関連法の順守は当然、ルールを守る。政治と金の問題の根本は、外国人からの献金で、パーティ券は外国人でも買えるような抜け道があり、これを禁止する必要がある。また、企業・団体からの献金も基本禁止しないと、利権のフィードバックでの問題につながる。政策活動費は政党本部から党幹部らに渡されてきたつかみ金で、買収に使われた疑いもある。支出の実態を隠すためのもので廃止は当然だ。癒着と腐敗の温床である企業・団体献金はパーティー券を含め廃止すべきだ。収支報告書の迅速な要旨作成を義務化する。
12.国会議員の世襲について親・近親者からの政治団体・政治資金の引き継ぎの禁止(C)特に問題はないので現状を維持(A)その他:
小選挙区制度を廃止し、全国比例のみにする(D)
その他:
有権者の選択で退場させる(D)
理由議員は、人物本位によって選出されるべきであり、各政党の判断と有権者たる国民の判断にゆだねるべき。小選挙区では死に票が多い問題があるが、地域地盤で国会議員の世襲が容易となり、能力的不適切でも血縁等での世襲問題がある。ネット時代であり、全国比例のみで国会議員を選ぶ方式に変え、地盤を引きつぐ意味をなくし、成果実力での選挙制度への変革が必要。カネの力で選挙結果を歪めるような候補者は、世襲かに関わらず、選挙における有権者の選択によって退場させることが重要だ。小選挙区から比例代表中心の選挙制度に改めることによって、多様な民意が国政に反映されるようにすることも必要だ。

<比例・回答全文>

金城泰邦氏島袋恵祐氏
1.改憲について最も近い考え方現在の憲法を基軸に条文の追加・見直し (B)現憲法の堅持(C)
理由記述なし日本国憲法は平和主義、国民主権、基本的人権を明記し、前文や9条、25条をはじめ、極めて先駆的な規定を持っている。沖縄県民が本土への復帰に際し願ったのも日本国憲法のもとに戻ることだった。憲法の理念を現実に生かすことが、政治が果たすべき役割だ。
2.憲法9条改定についての賛否変えるべきではない(B)変えるべきではない(B)
理由記述なし憲法9条は憲法の平和主義の核心だ。9条は絶対に戦争しないことを求めており、凄惨な沖縄戦を経験した県民の「命どぅ宝」の強い思いと通じる。9条を生かした徹底的な外交努力で、東アジア地域に平和の枠組みをつくることが、いまこそ求められている。
3.自衛隊の位置付けについての考え方現状維持(B)憲法違反なので廃止(C)
4.緊急事態条項創設への賛否無回答反対
理由※必須今後の議論を注視するなかで判断する 。「緊急事態条項」は、国会の権能を奪って内閣に権限を集中し、地方自治体を国に従属させ、国民の基本的人権を制限する憲法停止条項だ。国会議員任期延長の議論は、国民の選挙権行使の機会を奪い、権力の濫用と恣意的な延命を招くもので、認められない。
5.改正地方自治法が成立・施行されたことへの評価無回答評価しない(B)
理由※必須どちらとも言えない。国民の生命などを守るため、個別法で想定されていない事態が生じた場合に国と地方の間の責任の所在が不明確になるという事態も想定し、対応方策が必要になる。 政府が「国民の安全に重大な影響」又はそのおそれがあると判断すれば、閣議決定だけで自治体に指示し、従わせることができる。国と地方の関係を「対等・平等」から「上下・主従」に変えるものだ。沖縄での強権的なやり方を全国に広げるもので、認められない。
6.死刑制度存続への賛否その他:引き続き検討が必要。(E)法改正して明確に廃止すべきだ(B)
7.前回選挙後3年間の岸田政権への評価評価する(A)評価しない(B)
理由記述なし民意を一顧だにせず、玉城知事の権限を奪い、民主主義も地方自治も踏みにじって辺野古新基地建設を強行した。軍事費の倍増、敵基地攻撃能力の保有に舵を切り、沖縄の軍事要塞化を進めたことは許されない。経済無策、沖縄関係予算の減額で県民生活を苦しめた。
8.玉城デニー県政への評価評価しない(B)評価する(A)
理由記述なし県民の思いに応え辺野古新基地建設反対の先頭に立ち、太平洋島しょ国や海外都市との信頼醸成を図る取り組みを実践している。子どもの医療費無料化や給食費無償化の推進、性的マイノリティーの当事者が生きやすい社会を目指す「美ら島にじいろ宣言」も重要だ。
9.旧統一教会問題への受け止めや、今後の対策社会的な問題、トラブルを抱えている団体と政治の関係の問題と捉えている。一般論として社会的な問題やトラブルを抱える団体との関わりは、慎重であるべきで、控えるべき。団体から被害を受けた方々へは、救済に向けた相談支援体制の拡充を進めている。 自民党が反社会的・反国民的カルト集団である統一協会と癒着して政策を進めようとしてきたことは民主主義に関わる重大問題だ。安倍元首相が協会幹部と面談し選挙への支援を確認していたことも報じられている。真相解明に背を向け幕引きすることは許されない。
10.調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の今後のあり方について早急に立法措置を講じて使途の全面公開、残金返納を義務付ける(B)早急に立法措置を講じて使途の全面公開、残金返納を義務づける(B)
11.政治と金の問題を受け、政治資金の透明化にむけての対応改正後の政治資金規正法を適切に運用すると共に、第三者機関の制度設計に伴うさらなる法改正を行うべき。併せて、政策活動費の廃止も目指すべきだと考えている。 自民党の裏金の原資となった企業・団体による政治資金パーティー券購入は、形を変えた企業・団体献金だ。企業献金は本質的な賄賂性を持つ。全面禁止すべき。国民の「政党支持の自由」に反する政党助成金は廃止し、政党は政治資金を国民に依拠して集めるべき。
12.国会議員の世襲についてその他(E)その他:
選挙制度を抜本的に見直すべきだ(E)
理由優秀かつふさわしい人材を選出するために必要な環境整備について議論が必要。世襲によって選挙区や政治資金を受け継いでいくことは、他に立候補を考えている者の「選挙に出る自由」に影響を与えかねない問題がある。世襲は、とりわけ小選挙区制度がもたらす弊害だ。比例代表を中心とした選挙制度に改めるべきだ。