10月27日投開票の衆院選と同時に行われた最高裁裁判官の国民審査で、沖縄は罷免を求めて「×」を付けた割合(不信任率)が17・60%で全国平均の10・46%を大きく上回り、47都道府県で最も高かった。対象となったのは、2021年の衆院選以降に任官した6人の裁判官で、全員が信任された。辺野古新基地建設工事を巡る訴訟など沖縄関係の裁判に関わった宮川美津子氏、尾島明氏の2人のうち、宮川氏の沖縄での不信任率が19・52%で最も高かった。
宮川氏は4月、最高裁第1小法廷の裁判長として辺野古新基地建設に向けたサンゴ類の移植を巡り、農相が県に特別採捕を許可するよう「是正の指示」をしたことは違法だとして、県が指示の取り消しを求めた訴訟で県の上告を不受理とした。
国交相による史上初の代執行を巡る県と国との訴訟でも県の上告受理申立を不受理としている。
国民審査の不信任率は総務省の速報値を基に、対象裁判官6人への投票数を合計して算出した。
沖縄に次いで高いのは、東京都の14・88%で、京都府13・25%、神奈川県13・24%と続いた。沖縄の不信任率は国民審査が導入された1972年以降、一貫して全国平均を上回って高い水準で推移している。
一方、沖縄は例年から無効投票率も高い傾向にあり、今回は全国平均の2・43%に対して2倍以上の6・36%だった。県内での投票総数56万2830票のうち、3万5806票が無効となった。
国民審査の制度に詳しい明治大の西川伸一教授(政治学)は「沖縄県民の多くが、辺野古関係の訴訟での最高裁判断に疑問を抱いているということだろう」と指摘する。
また、今回は全国平均でも1990年以来34年ぶりに10%を上回るなど、国民審査への関心の高まりもうかがえる。
西川氏は、「SNSの普及で、情報に接する機会が一気に拡大した影響が大きい。最高裁に直接異議を唱えられる貴重な機会だということが周知されていけばいい」と述べた。