アフリカで年商300億 北谷町出身・金城さん


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 原油やレアメタル(希少金属)など資源価格の高騰などを追い風に安定的な経済成長を続けるアフリカで、2007年から中古車販売業を皮切りに、土地開発、ホテル業、鉱山採掘業、タクシー業、卸売業などの事業を多角的に展開しているウチナーンチュがいる。

北谷町出身の金城拓真氏(30)で、タンザニア、ニジェール、ベナンなどアフリカ8カ国と日本国内で設立した「津梁貿易」などグループ41社を率いる若きビジネスリーダーだ。
 普天間高校卒業後、公務員を目指していた金城社長は、学費が安いという理由で韓国の鮮文大学に進学。同大で知り合ったアフリカ人留学生らと共に、中古車6台をアンゴラで販売したのがアフリカでの事業展開の第一歩となった。中古車購入のため4人で出資した計100万円は3カ月後には350万円になって戻ってきたという。
 2006年に大学を卒業。アフリカでの生活経験がある日本人留学生の卒業を待って07年、津梁貿易を立ち上げ、横浜市とタンザニアなどに事務所を構え、本格的に事業を開始した。設立当初は日本製の中古車をタンザニアなどで販売。その売上金で金や材木を購入し、中国で販売する事業を展開。その後、中国製商品の卸売業、陸運業、コンサルティング業など事業を拡大。現在のグループ年商は300億円という。貧困層の若者を積極的に雇用しているのも特徴だ。
 現在、国際復興開発銀行(世界銀行)グループの一つで、途上国に投資する際に内戦など非商業リスクに対する保証を行う多数国間投資保証機関(MIGA)との契約に向けた作業を進めている。
 内紛や独裁政治など不安定なアフリカで成功する秘訣(ひけつ)について、金城社長は(1)リスク分散(2)人脈などネットワークの構築(3)商習慣の把握―の3点を挙げる。「一生懸命にやっていれば誰かが力を貸してくれる。失敗を考えずに、今できることを思い切りやってほしい」と自身の経験を踏まえ、県内の若者にエールを送る。
 将来の目標について、金城社長はアフリカ大陸全ての国での事業展開を掲げている。

アフリカで土地開発などの事業を展開する津梁貿易の金城拓真社長=4日、北谷町
タンザニアの事務所で職員と共に記念撮影する津梁貿易の金城拓真社長(右端)=2010年