【島人の目】デブい沖縄なんていらない


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 厚生労働省の国民健康度ランキングで、沖縄県が肥満率全国第1位になったニュースを聞いて、僕はとても寂しく思いました。肥満率といえば聞こえがいいが、それは要するに沖縄は「デブ」の巣窟ということ。小さな島に極彩色かつ特大のかりゆしウエアを着た「デブ」がひしめいている…。なんと悲しい怖い未来図でしょうか。

 沖縄の将来が観光業にかかっているのは周知のことです。島の「デブ」たちはふらちにもその希望の火を消そうとしている。太っている皆さんを侮辱する気は毛頭ありません。僕自身もメタボです。そうではなく、肥満の集合体が沖縄の将来を破壊しかねない、と警鐘を鳴らしたいのです。
 長寿日本一、健康の島、お年寄りに温かい島、健康食うんぬん…という現実は、それ自体の恩徳もさることながら、全国に発せられていく「イメージ」が何よりも重要です。それは例えば沖縄の美しい海にも匹敵する、いやもしかするとそれよりも巨大な「観光資源」です。
 健康長寿の沖縄のイメージは、国内どころか外国にまで伝わり、ここイタリアでさえあちこちのメディアに取り上げられて、観光地沖縄のPRに一役買いはじめていました。
 ところが健康日本一の座からあえなく転落。男性の平均寿命は国内平均さえ下回り、今や「日本一のデブい県」。不健康・短命の代名詞である肥満が急増している沖縄では、もはや長寿など夢のまた夢でしょう。
 米軍基地よりもまず脂肪を駆逐し、健康で美味な島々の伝統食を取り戻すことが、わが沖縄の先決問題かもしれません。
(仲宗根雅則、TVディレクター)