【キラリ大地で】アメリカ 下嶋哲朗さん(ノンフィクション作家)


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吉田純子羅府新報記者(左)からインタビューを受ける下嶋哲朗さん=米カリフォルニア州のウイッティアーナロー公園

著書で沖縄社会に貢献
 ノンフィクション作家の下嶋哲朗さん(70)が新書「非業の生者たち」(岩波書店)の紹介のため米カリフォルニア州を訪れた。サンフランシスコで小橋川次郎・ベン親子に会い、7月8日にロサンゼルス近郊エルモンテ市のウイッティアナロー公園で行われた北米沖縄県人会のピクニックに参加した。

 多くの著書がある中で、下嶋さんの名を高めたのが「海から豚がやってきた」だ。同書のミュージカル・ロサンゼルス公演が2005年6月26日、エルカミノ大学マーシー劇場で開催され、2千人を動員、アンジェリーノ(ロサンゼルス区域居住者)に大きなインパクトを与えたことが歴史の1ページに刻まれている。
 俳優のジョージ・タケイさん、メークアップ・アーティストのカオリ・ナラ・ターナーさん、実行委員長の一人に女優のタムリン・トミタさんらが関わり、沖縄からも高山朝光さんはじめ、照喜名一さんら50人が応援に駆け付けた。
 「海から豚がやってきた」の作成当時を振り返って下嶋さんは「南洋諸島の豚は黒いのに、なぜ沖縄の豚は白いのかという疑問から出発し、多くの調査を重ねた結果、第2次大戦で唯一地上戦が行われた沖縄の悲劇とハワイ・ウチナーンチュの同胞友愛の精神にたどり着いた。それをまとめて琉球新報に100回以上にわたって連載したことが始まり」と語った。
 LAローカル羅府新報の吉田純子記者がインタビュー記事とコラムを同紙に掲載した。
 下嶋さんは長野県上田市生まれ、中学1年の時東京へ。1975年に石垣島川平に一家(奥さん、2歳、4歳の息子)で移住、1年間を過ごした。滞在中は朝日、読売新聞に投稿。「地上」雑誌に挿絵を描いて生計を立てた。最近、長野県上田市に「37年間のお付き合いだから、みんなで沖縄について研究していこう」との趣旨で7千冊を寄贈して「信州琉球文庫」を設立した。(当銘貞夫通信員)