【島人の目】異常気象ってホント?


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 地球温暖化、異常気象の始まりなどと言われて久しい。2003年夏、イタリアは異常気象に見舞われた。

WHO(世界保健機関)の試算によると、欧州主要10カ国内で暑さによる死者が計7万人も出たとされる年。また昨年は、実に258年ぶりに9月に「ラ・ファ(蒸し暑い日)」が記録されるという出来事もあった。今夏も暑かった。8月は猛暑と乾燥が続き、そのまま行くと03年にも匹敵する酷暑年になると懸念された。ところが8月の終わりに干ばつが解消され、気温も一気に下がって今は普通に秋の気配。涼しい。
 異常気象と呼ばれる変転の中でも、季節は毎年そうやって確実にやってきて、去っていく。その基本が崩壊しない限り、世界はもしかすると大丈夫。異常気象というのは、われわれ人間が人間の都合で大げさに騒ぎ立てているだけで、地球の、ひいては宇宙の雄大な時間の流れの中では、わずかな波風にも似たささいな変化ということもあるのではないか。
 だからと言って、人間がつくり出すCO2などの毒を垂れ流して良い訳ではないが、今後、たとえ「異常が普通」になるような事態になっても、人も自然も世界も何もかも、ある程度の犠牲や混乱、痛みを克服しながら気候変動にしぶとく順応していくのではないか。歴史はいつもそうやって作られてきた。幸いなことに人も自然も世界も、けっこう打たれ強い。今回の危機もうまく乗り切る、と考えるのは楽観的すぎるだろうか?
(仲宗根雅則、TVディレクター)