【島人の目】飛翔


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 以前この欄でコラム「忘却」について書いた。ミュージカルをボランティアで演じた10人の琉大生の中に幾人かことしの卒業生がいたのだが、そのうちの2人からその後の進むべき道と将来の希望が寄せられた。ともに大学を卒業して、新しい人生のコースを選択し、たくましく将来に向かって飛躍しているとの便り。

 ミュージカルのリーダーを務めた神田青さんは、「コラム拝見させていただきました。こうして活字にしていただく機会は大変貴重で、すごくうれしいです。今、僕は日本の青年海外協力隊としてラオス国への派遣を目前に控え、福島県で派遣前訓練の最中です。毎日ラオス語と闘っています」と書かれていた。
 ラオスには演劇と英語の指導という要請内容で6月25日に派遣された。
 「今までいろんな人に恵まれて、やりたいようにさせていただいてきました。不安の種となる漠然とした『将来』のためではなく『今』を繰り返し、これからも迷惑を掛けながらも、明るく素直に成長していきたいなと思います。沖縄人としての根っこをもった温かい樹のような男になるために、2年間海外で修行してきます」と意気盛んなところを表現した。
 もう一人は諸見里愛さん。「学習などにおいて記憶力が悪い、などの意味でしか『忘れやすさ、忘却』については考えたことがありませんでしたが、そのような観点から考えてみると面白いものですね。私たちの行ったミュージカル“RENT”のコラムを見まして、何よりも当銘さんにとってあの短いミュージカルが忘れたくない記憶として思っていただいている、と知りとても嬉(うれ)しかったです」と感想を寄せた。
 現在、琉球大学の大学院に進学し、応用言語学についてもっと詳しく学んでいる。将来は英語教師になり、沖縄の生徒の学力レベルアップに努め、世界に通用するウチナーンチュの育成を夢見ている。
 飛翔に心燃やす2人の若者だ。私は若者との交流を大事にする。どこの地を訪ねても若人との接触を試みる。記事やエッセーに若人を取り入れる。若者には無限の可能性が秘められているからだ。それが自分のライティング・スタイル(執筆姿勢)であり、そこに無上の喜びを見いだす。若者よ世界に向かって羽ばたけ!
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)