「さくら」へ思い込め 救助犬死亡で寄付


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さくらの遺影を手にしながら、糸満市社会福祉協議会の金城栄子副会長(右)に寄付を手渡す上原一成さん=7日、同市社会福祉センター

 【糸満】2002年8月、行方が分からなくなっていた女性を散歩中に発見した功績で糸満署から表彰を受けた上原一成さん(70)=同市糸満=の飼い犬「さくら」(メス、推定15歳)が12年9月に亡くなった。

これを受けて上原さんは7日、さくらが人命を救助したことを記念して約10年ほど少しずつためていた硬貨を市社会福祉協議会に寄付した。上原さんは「さくらは家族以上の存在だった。大事に使ってほしい」と話している。
 02年8月17日、日課の散歩中、突然ほえだしたさくらが側溝に挟まっていた女性を発見。この女性は認知症で、自宅を出て以来3日間、行方が分からなくなっていた。糸満署は、発見したさくらの功績をたたえ、飼い犬への感謝状とドッグフードを贈呈した。
 さくらが表彰を受けたことを機に「将来的にボランティアに使おう」と硬貨をこつこつためた金額は2万5424円。さくらが亡くなった後、日課の散歩中に「相棒は?」とすれ違った人からたびたび聞かれて一瞬悲しい思いもするが「私よりさくらのほうが有名だ」と前向きに考えている。その上で「さくらと毎日散歩したおかげで今も元気に野球ができるし、一緒にかわいがっていた孫との交流も深まった」と長年連れ添った愛犬に感謝する。
 募金を受け取った同協議会の金城栄子副会長は「上原さんの寄付にさくらも天国で喜んでいると思う。大切に使いたい」と話した。
(梅田正覚)