平和ガイド・吉嶺さん 表彰 「エイジレス章」に


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約27年間にわたる平和ガイドの活動が認められ、エイジレス章を授章した吉嶺全一さん(右から2人目)=21日、県庁

 年齢にとらわれず、生き生きとした生活を送る高齢者の個人・団体に贈られる内閣府の「2012年度エイジレス章」に、県内から観光ボランティア平和ガイドの吉嶺全一さん(80)=那覇市=が選ばれた。

県福祉保健部の崎山八郎部長が21日、吉嶺さんに伝達表彰した。12歳のころ沖縄戦を体験した吉嶺さんは平和の尊さを伝えたい思いから、約27年間にわたりガイドとして活動。「体力が続く限り、活動を継続したい」と決意を新たにしている。
 旅行会社に勤めていた1985年、戦後40年を契機に沖縄を訪れた退役軍人らを戦跡地に案内した経験がきっかっけでガイドを始めた。その後、県観光コンベンションビューローの養成講座を受講し定年退職後に本格的に活動。現在も多いときで月25回程度、修学旅行生らに戦跡を案内、戦争体験を語っている。
 沖縄戦中、家族と近所の住民ら約50人で首里市(現在・那覇市)から南部に撤退した。途中、米軍の銃弾に次々と倒れ、摩文仁村(現在・糸満市)に着くころには15人にまで減った。米軍からの投降呼び掛けに応じなかったが、目の前でナパーム弾に撃たれた日本兵が火だるまになり、骨も残らず灰になった姿に衝撃を受け、同村で捕虜になった。
 吉嶺さんは「人間が人間でなくなるのが戦争。二度と起こしてはいけない」と話した。