「助っ人」は住民 沖縄市社協、後見サポーター制導入


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
認知症や知的障がい者の財産管理などを見守る成年後見制度で、住民が参加した支援活動を始める、沖縄市社協の担当の(左から)富満明日香さん、知花椿さん、大山望さん=14日、沖縄市社会福祉協議会

 【沖縄】認知症の高齢者や知的障がい者ら判断能力が不十分な人を補佐し、本人に代わって財産管理や法律行為をする「成年後見制度」の「法人(組織)後見人」に指定されている沖縄市社会福祉協議会は、地域住民が被後見人(補佐を受ける人)の見守り活動を手伝う「法人後見サポーター」制度を導入する。12月に養成講座を開き、2013年度の本格導入を目指す。

住民の力を借りて被後見人との接触の機会を増やし、支援の質を高めると同時に、認知症や障がいへの理解者を増やし、認知症や障がいがあっても住みやすい地域づくりを目指す。
 法人後見サポーター制度の導入は県内初。
 同市社協が現在担当している被後見人は19人。一方、担当の専門員は1人だけで、専門員は支払いや資料作りなどの事務も行うため、被後見人との面談は月に1度程度しか行えないのが実情だという。同社協はサポーター制度の導入によって被補佐人との面談を増やして信頼関係を築き、より本人の希望に沿った支援ができると見込んでいる。
 サポーターは市内の在住者や勤務者が登録対象。財産管理などをめぐる個人的なトラブルを防ぎ、市社協が責任を持って運営するために、市社協非常勤職員の有償ボランティアとして登録する形を検討している。
 サポーター養成講座は市の委託を受けて開催する。その後、受講者への意向調査や実習を経て13年度からの配置を目指す。講座は定員35人だが既に定員に達しているという。担当する市社協の富満明日香さんは「思っていたよりも成年後見制度への関心が高い。施設などに勤務し、知識を付けたい人が多いようだ」と好感触を得ている。
 同じく担当の知花椿さんは、成年後見制度に比べ、認知症や障がいの程度が低い人が対象の「地域福祉権利擁護事業」も、支援員不足で利用待機者が相次いでいると説明し、「最終的には権利擁護事業のサポーターも養成したい。地域の人が地域を支える仕組みができれば、地域福祉の底上げにもつながる」と話した。(島袋良太)

<用語>法人後見
 成年後見人制度で、身寄りがないなどの理由で適切な後見人がいない人を対象とした、社会福祉法人や法律専門家の公益法人などの組織が後見人を務める制度。本人の生活状況、家族や親族関係を調査し、一定の手順を経た上で法人後見が妥当と判断した場合、市町村長が家庭裁判所に申し立て、選定を受ける。