復帰の意味問う 法政大シンポで元県知事ら


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沖縄の本土復帰40年を振り返った(右から)大田昌秀、新川明、新崎盛暉、稲嶺恵一の4氏=25日、東京都の法政大学

 【東京】沖縄本土「復帰」40周年記念シンポジウム「『復帰』40年、これからの40年」(法政大沖縄文化研究所主催)が25日、東京都内の法政大学で開かれた。

元県知事の大田昌秀、稲嶺恵一、ジャーナリストの新川明、元沖縄大学学長の新崎盛暉の4氏がパネリストとして参加。戦前戦後の歴史や復帰から40年を迎えた沖縄の現状を振り返り、日米両政府による沖縄への構造的差別を指摘するとともに、自己決定権を確保する重要性や「復帰」の意味を問い掛けた。
 大田氏は「圧倒的多数を占める他府県選出の国会議員が、沖縄問題を自分の問題として取り組めば、解決が早い。しかし、そうしてくれない。だから、沖縄人たちは構造的に差別されていると言っている」と基地問題が解決しない要因を語った。
 稲嶺氏は、鳩山由紀夫元首相が普天間飛行場の「県外移設」を打ち出したことについて「本土も、沖縄もけしからんとしているが、けしからんに微妙な差がある」と指摘。「沖縄のけしからんは、少なくとも県外と言って、結果的にできなかったから、けしからんだ。普天間基地移設問題など沖縄の基地問題を国家的な課題として提起したことは間違いではない」と強調した。さらに、鳩山発言で、県外移設の意見が大多数となった沖縄の民意を変えることは難しいとした。
 1972年の復帰前後に「反復帰論」を提起した新川氏は、「自己決定権を100%確保することは、独立という形を取らないとできない。司法、行政、立法の3権そろい踏みで、地方の声を最終的に圧殺する」と述べ、自治権の拡大では限界があると指摘した。
 新崎氏は日本政府の沖縄への対応について「権力をふるって、力ずくで行う。これは構造的な沖縄差別を押し付けることだ。これによって政府は対米従属関係を成立させている」と指摘。日米安保容認派にも差別を許さない意識が広がり、安保に反対する県民と手を組みつつある沖縄の現状を報告した。

英文へ→Symposium to discuss the significance of Okinawa’s reversion to Japanese sovereignty held in Tokyo