多様性認める社会へ 辛淑玉、朝倉景樹さん講演


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マイノリティーの視点から多様な社会の実現について語った辛淑玉さん(右)と朝倉景樹さん=25日、那覇市牧志の那覇市ぶんかテンブス館

 不登校や引きこもり、被災地の事例から、多様な社会の実現を考える講演会&クロストーク「多様な生き方の実現とコミュニティ活性化へ向けて」(レインボーアライアンス沖縄主催)が25日、那覇市牧志の那覇市ぶんかテンブス館で開かれた。

人材育成会社香科舎代表の辛淑玉(しんすご)さん、フリースクールの東京シューレ大学スタッフの朝倉景樹さんがそれぞれ講演。レインボーアライアンス沖縄代表の砂川秀樹さんを交えて、てい談した。「マイノリティーが生きやすい社会は、どの人にとっても生きやすい社会」と多様性のある社会の必要性を話し合った。約50人が参加した。
 不登校や引きこもりについて語った朝倉さんは「不登校の理由は、今もいじめが多い。最近は、本人が理由を言葉に表せない、表しにくい不登校も増えている」と述べた。
 他の子が周りの声援を受けながら、苦手な給食の牛乳を飲むところを見て心が痛んだり、メールにすぐに返信しないと印象が悪くなることを恐れ、お風呂やトイレにまで携帯を持ち歩いたりする小学生もいると実例を挙げた。
 背景として「日本社会では(社会に)どのようにうまく適応するかが、いつも問われる」と指摘。子どもの自殺問題に言及し「自殺するまで追い詰められていても、学校に行くことが当然という雰囲気がある」と述べた。
 一方、辛さんは被災地で生活する人々の様子を報告。「日ごろ抱える問題が、ひどい状況になるといっぺんに出てくる」と述べ、心の病を抱える職員が多く、DVや性暴力、虐待などが起きている実態を報告した。「仕事や家などあらゆる物が奪われ、抑圧された社会では、自分の強さを確認するために、より弱い者に暴力が向く」と指摘した。
 セクシャルマイノリティーや原発事故に関連付けた差別を例に挙げ「多様な子どもたちが生まれてくる。みんなが不便でない生き方をするにはどうしたらいいのか。それをつくるのが社会だ」と呼び掛けた。