稲垣氏「地域に即し災害対応を」 県公民館研究大会、減災実験を紹介


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
稲垣暁沖縄大学地域研究所特別研究員の講演に耳を傾ける参加者=22日、読谷村の鳳ホール

 「人と地域が輝くための公民館活動を目指して」をテーマに、第42回県公民館研究大会中部大会(主催・県公民館連絡協議会など)が22日、読谷村の鳳ホールで開かれた。稲垣暁沖縄大学地域研究所特別研究員が地域資源を活用した防災について講演した。

稲垣研究員は6月に繁多川公民館で実施した減災実験の例を紹介し「地域特性に合った災害時の対応が重要」と話した。
 繁多川公民館で実施された減災実験では、豚汁の炊き出しを通して災害時の対応を確認した。大規模地震や津波被害下では、那覇市内でも高台にある同公民館に約2千人の避難者が訪れると想定し、備蓄水が40リットルだけしかないなど限られた設定で実施された。停電下の部屋の暗さや暑さ、高齢者や子どもにとって炎天下での豚汁の食べづらさ、医療従事者がいない場合の病人への対応など、実験を通して挙げられた課題が紹介された。
 稲垣研究員は、災害時の対応について「前もって、人口や地形、資源など地域特性を把握しておくことが重要」とした上で「この実験では、さまざまな失敗があったが、失敗を生かすことが大切。経験を地域に残すことが災害時対応に役立つ」と話した。
 大会では、優良自治公民館として15公民館が表彰された。午後は3分科会で地域の公民館の在り方などについて話し合った。