85歳香川さん 楽しく野菜作り、手作業で整地


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畑の手入れをする香川孝治さん=南風原町与那覇

 【南風原】3キロの道のりを毎日往復し、1980平方メートルの畑を耕して野菜作りに励むお年寄りが、地域の話題になっている。香川孝治さん(85)は、南風原町兼城の住宅から町与那覇にある知人から借りた農地へ通い、7年目になる。荒れた農地の雑草取りから始め、耕し、野菜を作った。

 ギンネムの木が生い茂げり、荒れ放題だった隣の土地も香川さんが整地し、畑に変えた。今では4カ所の畑でホウレンソウ、レタス、里芋、バナナ、パパイアなどを植えている。
 朝5時に起床、自分で作った弁当を持って6時に畑に向かう。近くの保育所の園児たちから「おはようございます」と声を掛けられ、爽やかな気分になり元気が出るという。耕運機などを使わず、くわとスコップで耕す。水は大きなポリ容器にためた雨水を利用。畑仕事の合間には、近くで牛を飼育している国吉光雄さんの牛舎に寄って子牛を世話し、代わりに肥料を譲ってもらい畑に施すため、作物の出来も良いという。
 妻の秀さん(81)は「たくさん野菜が植えられている畑を初めて見たとき感心した」と笑顔で話す。幼いころから踊りが好きだった香川さんは、地域の行事にも積極的に参加。9月の与那覇区敬老会には娘と伝統芸能「山崎ヌアブザーマー」を披露して区民らを感激させた。
 畑の地主の一人で元町議会議長の新垣善清さん(78)は「石ころだらけで原野同然の土地をきれいに整地し、作物を作る元気な姿に頭が下がる。取れたての野菜を頂いたりして助かっている」と話した。香川さんは「早寝早起きして、毎日3度の食事を取ること。歩いて体を動かすことが健康の秘訣(ひけつ)」と満面の笑顔を浮かべた。(知花幸栄通信員)