地下水からヒ素 沖縄市、基準15~18倍


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ヒ素が検出された地下水の採取エリア

 沖縄市がことし3月、県内外の2業者へ委託し実施した地下水水質調査で、沖縄市池原の農地から環境基準の15倍から18倍のヒ素が検出されていたことが10日、分かった。

県もことし8月に同じ地域で調査を実施した結果、基準値の13倍のヒ素が検出されたことも判明した。琉球大学理学部海洋自然科学科の大出茂教授(環境化学)は「検出されたヒ素が(毒性の強い)無機態のヒ素であれば、地下水を飲み水として人間や動物が直接飲むのは危険」と指摘し「ヒ素の発生源を早急に調査して除去すべきだ」と警鐘を鳴らしている。
 沖縄市の報告書によると、2業者のうちの1業者の調査では環境基準(1リットル当たり0・01ミリグラム)を18倍上回る0・18ミリグラムのヒ素が、もう一方の業者の調査では15倍の0・15ミリグラムのヒ素がそれぞれ検出された。
 ヒ素が検出された地下水がある地点の周辺には農家や工場がある。ヒ素の汚染範囲や原因は分かっていない。沖縄市は近くにある産業廃棄物最終処分場との関連性について「今回は、あくまで1地点の調査による結果だ。季節によって変動することもある。今後、継続して調査しないと判断できない」と話している。
 付近には井戸もあるが、同市によると飲用には利用されていないという。同市は近隣の倉敷ダムへの影響について、調査した地下水から雨水がたまるダムへと汚染が広がるのは「考えられない」との認識を示した。
 県環境生活部は最終処分場を運営する業者が実施した調査でも、過去にヒ素が環境基準を上回ったため調査を実施した。8月の調査では1リットル当たり0・13ミリグラムのヒ素が検出された。年内に住民対象の説明会を開く予定。
 県議会11月定例会の一般質問で県環境生活部の下地寛部長は「(ヒ素が)自然由来も想定されるので、調査の範囲を広げ、しっかり把握し、適切に対応したい」と話した。嘉陽宗義氏(共産)の質問に答えた。