県立と医師会病院統合も 北部の医師不足で論議


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北部の医師不足解決に向けて議論するパネリストら=2日、名護市の北部会館

 【北部】「北部医療の発展を考えるシンポジウム」(名護市各種団体女性代表ネットワーク協議会主催)が2日、名護市の北部会館で開かれ、医療関係者が北部の医師不足解決に向けて議論した。

県北部福祉保健所の宮里達也所長は「行政ではなく、一専門家としての意見」と断った上で、中長期的な解決策として県立北部病院と北部地区医師会病院の統合を提案した。同医師会の石川清和副会長も同調した。
 宮里所長は、県内の医師不足の解決策は「人材育成しかない」と強調。そのために琉球大学の機能強化や、医師が働きやすい環境の整備などが必要と説いた。
 北部における具体的な解決策として、病院統合のほか、琉大から産科医を派遣する制度をつくることを提案。「医療の課題は住民が一致した考えで行動しないと成功しない」と市民の意識向上を呼び掛けた。
 県立北部病院の病床は約300、医師会病院は約200ある。統合によって必要な医師数が少なくて済み、さまざまな病気を抱えた患者を1カ所で対応できるようになるという。研修医にとっても多くの医師から学ぶことができ、研修医同士の切磋琢磨(せっさたくま)も期待される。
 また、同じく登壇した名護療育園の泉川良範施設長は、北部で医師を育てる方法として(1)医学部進学希望者への奨励金支給(2)北部出身医師の組織を設立(3)北部出身医師に地元に帰るよう呼び掛けるキャンペーン―などを提案した。