産着の展示検討 愛楽園の交流会館、強制堕胎語り継ぐ


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産着を手に取る企画・運営委員会の委員ら=11月27日、名護市の沖縄愛楽園

 【名護】国立療養所沖縄愛楽園に建設が予定されている「社会交流会館」の企画・運営委員会が11月27日、名護市の同園で開かれた。産着を縫うことで、ハンセン病療養所入所者の強制堕胎の歴史を語り継いでいる市民団体「くるみくるまれるいのちのつどい」の孫和代さん、花崎皋平さん、松浦順子さんが、会館に産着を展示することを提案した。同委員会は今後、検討していく。

 戦後の一時期まで、妊娠した入所者は違法な堕胎を強制された。2005年には「ハンセン病問題に関する検証会議」の調査により、胎児や新生児をホルマリン漬けにした「胎児標本」114体が、全国の療養所などに放置されていることが明らかになった。中には出生後に殺されたとみられるものもあった。
 国は標本にされた胎児の親を調査せずに一斉焼却する方針だったが、孫さんらが反対運動を展開し一部撤回。親への告知や火葬、慰霊祭が行われた。
 同委員会で孫さんらは、堕胎を強いられた入所者から聞いた悲痛な話を紹介。「産着を縫うことで、それを着ていたはずの赤ちゃんを想起できる」と意義を説明した。産着は入所者が着ていた衣類の布を使っている。委員たちは産着を手に取り、命を奪われた子どもたちに思いをはせていた。