野原さんが受賞 第40回新報短編小説賞


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
受賞について「何か一つのステップを達成できたという気持ち」と話す野原誠喜さん=17日、琉球新報社東京支社

 第40回琉球新報短編小説賞は受賞作に野原誠喜(まさき)さん(26)=茨城県、フリーター=の「シーサーミルク」、佳作に金城光政さん(60)=糸満市、認定作業療法士=の「案内状」が決まった。

 46編の応募作品を2次の選考で4編に絞り、15日に那覇市内で最終選考会を開いた。芥川賞作家の又吉栄喜氏、早稲田大学教授の勝方=稲福恵子氏が出席し、文芸評論家の湯川豊氏は各作品への講評を事前に文書で提出する形で参加した。
 「シーサーミルク」は、広告会社に勤務する主人公が、いかがわしい風貌の「おじさん」に本島南端の喜屋武岬まで導かれ、そこで古くから沖縄の守り神であるシーサー一族の秘密を知るという物語。
 選考会では、又吉氏が「主人公の常識の世界がおじさんの不条理にはまっていく面白さ」、勝方氏が「最後までスムーズに読ませる描写力が達者」と評価。湯川氏は「作者の狙いが決まって小説世界を現出させている」と寄せた。
 贈呈式は来年1月25日に那覇市の琉球新報泉崎ホールで開催する。