琉・独の音楽響き合う 交流180年記念公演


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組踊「手水の縁」で山戸が人目を忍んで玉津を訪ねる場面=5日、南城市文化センターシュガーホール

 琉独交流180年を記念した公演「献歌『琉球とドイツ』芸術の贈り物」(沖縄ドイツ協会主催)が5日、南城市文化センターシュガーホールで行われた。琉球芸能やドイツのクラシック音楽を交互に披露。琉球、ドイツの音楽が互いに響き合うように観客を楽しませた。

 舞台はドイツの音楽で幕開け。ソプラノ歌手の豊嶋起久子、ピアノの三ツ石潤司が出演した。クララ・シューマンの「僕は暗い夢の中にいた」「ローレライ」など「6つの歌曲」を披露した。
 琉球芸能と洋楽が共演したのが組踊「手水の縁」(抜粋「忍びの場」)。地謡は、歌三線で人間国宝(組踊音楽歌三線)の西江喜春、玉城和樹、箏の宮里秀明に加え、国内外で活動するフルート奏者・渡久地圭も出演した。渡久地は山戸(宮城茂雄)が人目を忍んで愛する玉津(金城真次)を訪ね、笛を吹く場面で美しい旋律を奏でた。シュガーホールの良質な音響空間の中で西江、玉城の歌三線も生き、胸に迫るものがあった。
 さらに西江が独唱「松竹梅」を披露し、金城が古典女踊「かせかけ」、宮城が雑踊「鳩間節」を踊った。ゆったりとした古典舞踊かリズミカルな雑踊へ変化をつけた構成となった。
 後半は再びドイツ音楽。ソプラノ豊嶋、ピアノ三ツ石によるロベルト・シューマン「献呈」「月の夜」などで情感の込もった歌声と演奏を響かせた。
 琉球、ドイツの両チームともアンコールに応えた。琉球の「とぅばらーま」は歌三線の西江と玉城、箏の宮里、フルートの渡久地が合奏し、郷愁を誘う玉城の独唱などが印象に残った。