サバニおがくず肥料に 再利用し野菜作り


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 【糸満】化学肥料や農薬を使わない自然農法を実践する、糸満市の市民サークル「オーガニックいとまんchu」は、市西崎町の糸満海人工房・資料館で製作するサバニから出るおがくずを再利用し、畑で野菜を育てている。

市伝統のサバニから出るおがくずを農業肥料として使うユニークな取り組みだ。
 市民サークルは、東日本大震災の発生で、県外から沖縄に移住をしてきた人らが中心となって結成。自然農法を実践する農家と市場をつなぐ活動をしている。
 サバニは、宮崎県の天然杉「飫肥(おび)杉」を用いて製作される。1本の木材で1隻分の材料となり、製作過程で、約3分の1がおがくずとなって廃棄されるという。
 飫肥杉は化学肥料を使っておらず、そのおがくずは自然農法にうってつけだという。12日、サークルメンバーが提供した市真栄里の畑で、県産小麦とソバの植え付けを実施。その後、畑におがくずをまいた。
 メンバーの中園順子さんは「ないものねだりではなくて、あるものねだり。地域で自給をして、自分たちが作った食物を安心して食べたい」と話している。
 費用がかかるおがくずの処分に困っていたという、船大工の大城清さんは「有効活用できて、こんなうれしいことはない。“スギの精”も喜んでいるのではないか」とうれしそうに話した。

製作中の伝統サバニ=14日、糸満市西崎町の糸満海人工房・資料館
サバニから出るおがくずを使って自然農法を実践する「オーガニックいとまんchu」の中園順子さん(右)と山城由希さん=12日、糸満市真栄里