3氏に沖縄研究奨励賞 沖縄協会


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 【東京】沖縄協会(東京都、清成忠男会長)は18日、50歳以下の新進研究者を表彰する第34回沖縄研究奨励賞を発表した。

自然科学部門で瀬戸口浩彰京都大学大学院教授(50)の「琉球列島における植物の系統進化と遺伝構造の研究」、田場聡琉球大准教授(42)の「沖縄産栽培作物に発生する未知病害の解明と簡易検定および環境配慮型防除に関する研究」を、人文科学部門で新里亮人(あきと)伊仙町教育委員会主査(35)の「『古琉球』形成過程に関する考古学的研究」を選んだ。
 副賞の研究助成金50万円を贈る。贈呈式は来月24日に那覇市のパシフィックホテル沖縄で開く。社会科学部門は該当作がなかった。
 瀬戸口氏は琉球列島の多様な植物を対象に最新のDNA解析など新しい手法を駆使して広い視点で研究活動を展開する。研究で琉球列島の固有種が短期間に急速な種分化を起こしたことを明らかにした。
 うるま市出身の田場氏はドラゴンフルーツやマンゴーに発生する未知病害の解明や病害に対する簡易診断法、防除について提起。研究は環境汚染や化学合成農薬の弊害を解決する策として学術的に高く評価された。
 与那原町出身の新里氏は「古琉球」初期段階のダイナミックな歴史動向を考古学の手法を用いて総合的に把握するよう努め、王国形成へと移行発展していく島しょ地域の動態的な諸相を明らかにした。東京都文京区の同協会で記者会見した清成会長は「近年は自然科学部門の応募者が増えており、独自視点の研究や問題解決に寄与する研究も出てきて喜ばしい」と述べた。
 瀬戸口氏の話 これまでやってきたことが認められ光栄だ。沖縄の植物に関心を持ってもらえるよう情報発信していきたい。
 田場氏の話 多くの人の助言、協力があったから研究できた。沖縄の農業発展につながるよう今後も頑張りたい。
 新里氏の話 大変光栄に思う。奄美諸島と琉球王国との関係は深い。奄美での考古学を通して、島しょ間研究を進め、発信していきたい。